研究課題/領域番号 |
12450397
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
航空宇宙工学
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研究機関 | 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
佐々木 進 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部・宇宙情報・エネルギー工学研究系, 教授 (00092221)
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研究分担者 |
田中 孝治 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部・宇宙情報・エネルギー工学研究系, 助教授 (90321570)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2003
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キーワード | 太陽発電衛星 / 薄膜構造物 / デブリ / メテオロイド / 衝撃破壊 / レールガン / イジェクタ |
研究概要 |
太陽発電衛星(SPS)をはじめ、軌道上の大型構造物は多くの場合薄膜の構造様式をとると考えられているが、宇宙の大型構造物では超高速(数km/s以上の速度)のスペースデブリやメテオロイドの宇宙浮遊物による衝撃破壊は不可避である。本研究は超高速弾が薄膜構造にどのような形態の破壊をもたらすかを実験的に明らかにすることを目的として、宇宙科学研究本部に設備されている高速電磁加速器(レールガン)からの高速弾を用いて薄膜の衝突破壊実験を行った。本実験では各種の材質の薄膜について破壊形態と衝突イジェクタのデータを取得するとともに、薄膜が超高速弾へ及ぼす影響についても調べた。薄膜からのイジェクタは高速弾の飛翔方向側70度程度まで拡がって後方の物体に深刻な破壊をもたらすことが見いだされた。その破壊エネルギーは衝突時にイジェクトされる薄膜の質量と高速弾の速度の二乗に比例すると考えられる。また衝突時に発生するプラズマは高速弾の飛翔方向側には高速弾とほぼ同じ速さで、逆方向にはプラズマの両極性拡散の速度で伝搬することが分かった。一方高速弾自体の破砕の閾値はターゲットの面密度で決まることが示された。レールガンからの高速弾(約4km/s、ポリカーボネイト)の破壊の閾値は0.1g/cm^2であった。この閾値は、衝突時の運動量の変化に対し、音波が高速弾を伝搬する時間撃力が働くと仮定すれば、高速弾の圧縮強度と概ね一致した。薄膜の衝撃破壊の規模を最小限に止めるための構造様式の研究では、薄膜に格子状に切り込みを入れることにより破壊領域を局所化する方法が有効であることが判明した。一方薄膜に格子状に強化部を取り付けた場合、破壊のエネルギーが伝搬せず衝撃部周辺の破壊は激しくなるが、破壊が広範囲に拡がることを防止できることが示された。これら得られた結果は今後宇宙で大型の薄膜構造物を構築する上で重要な知見となる。
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