研究概要 |
平成12年度から平成14年度までの研究成果の概要は以下のとおりである。 1)固相、液相、気相が共存する多相流体に対する長時間の数値シミュレーションにおいても,数値拡散が少なく,しかも圧縮性・非圧縮流体の両方に対して同一の方程式で計算可能なCIP-CUP(Constrained Interpolated Prome-Unified Procedure)法に基づく計算プログラムを開発し,船の波浪衝撃問題へ適用した。水の飛散を含むような強非線形現象に対しても計算が破綻することなく,高精度に計算できることを確認した。 2)新しく開発した計算法の妥当性を確認するために,孤立波が水上プラットフォームに衝突する波浪衝撃の実験結果およびVOF法による計算結果と,CIP法による計算結果を比較した.さらには甲板上へ越波する青波が上部構造物に反射され,入射波と複雑に相互干渉する現象に対しても実験結果と比較した。それらによって,衝撃圧力,それの積分値である流体力の時刻歴,さらには甲板上での複雑な波の挙動が,新しく開発した計算法によって高精度に推定できていることを明らかにした。 3)プランジャー型あるいはフラップ型造波機を備えた,いわゆる数値水槽を構築した。その際,計算領域全体の質量保存を完全に満たすために,密度関数逆算法によって剛体の境界面を精度良く追跡する方法を提案し,造波機によって発生した波,造波機に働く流体力ともに,実験結果と良く一致していることを示した。 4)構築した数値水槽を用いて,大振幅波浪中での浮体の動揺について数値シミュレーションを行った。計算例として,凸型浮体へ大振幅波浪が入射する場合を考え,波の打ち込みや越波を伴う場合でも計算が破綻することなく計算でき,しかも波による漂流力や衝撃力も問題なく推定できていることを確認した。 5)時間領域3次元グリーン関数法を用いたbody nonlinear計算法を開発した。それを船首部にフレアを有する実用船型に適用し,波浪中抵抗増加の計算値に対するフレアの影響を評価できることを示した。これらの結果は,水槽実験の結果とよく対応していることを確認した。
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