研究概要 |
非常に輻輳した海域において船舶を安全に航行させるためには,船員の経験や能力不足を補うための操船支援システムあるいは自動運航システムの開発を行うことが非常に重要であるため,本研究においては船舶の自動運航システムの開発を目的としている。 まずはじめに,昨年度に開発した衝突の危険度の判断パラメータとして閉塞領域を利用する衝突自動回避アルゴリズムの検証を行うために,昨年度までに構築した模型船の位置や回頭角,速度,回頭角速度等を計測する実験システムを利用して,針路上に存在する障害物を回避する状況を対象として模型実験を実施した。その結果,本研究において開発した衝突自動回避システムは有効に機能すること,またシミュレーション計算法は十分な推定精度を有していることを確認した。 一方,衝突の危険度の判断パラメータとして閉塞領域を利用する衝突アルゴリズムについて,衝突危険度の判断対象として複数の船舶に対応できるようにシステムの拡張を行った。複数船舶への拡張に際して,閉塞領域の重複を判断する部分の計算速度の高速化を図り,避航航路の決定を敏速に行えるように留意した。3隻あるいは4隻の船舶の航路が複雑に交差する場合についてシミュレーション計算を実施した結果,衝突を生じることなしに安全に航行することが可能であることを確認した。また,海上法規に従わない船舶が周囲に存在する場合においても,本研究において開発した船舶の自動運航システムは有効に機能することをシミュレーション計算により確認した。
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