研究分担者 |
笹木 圭子 小樽商科大学, 商学部(環境科学), 助教授 (30311525)
広吉 直樹 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50250486)
恒川 昌美 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40002026)
福嶋 正巳 産業技術総合研究所, つくば西事業所・環境管理研究部門, 主任研究員 (40344113)
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研究概要 |
低品位炭であるBeluga炭をHWD法で処理して、低灰分で疎水性の石炭に改質する際に生ずる溶液(改質液)について、GC/MS, HPLC、GPC、サイクリックボルタンメトリー、を用いてキャラクタリゼーションを行った。また、この改質液中に有機還元物質が含まれていることに着目し、そのCr(VI)還元能について実験、蛍光分析により調べた。その結果、以下のようなことを明らかにするとともに、本研究の総括を行った。 1.改質温度を270℃,300℃および330℃としてHWD処理して得た改質液のTOC濃度は,それぞれ650,2240,7200ppmであり,改質温度の上昇に伴い急激に増大した。 2.270℃改質液には,酢酸と分子量1600〜3400程度のオリゴマーが共存しており,オリゴマーを構成している物質は主に脂肪族有機酸エステルであった。 3.300℃改質液には,メタノール・カテコールやフェノールなどが含まれており,HPLC分析によるカテコール濃度は約10ppmであった。 4.330℃改質液には,メタノール,アセトン,酢酸,フェノール,カテコールなど含まれているが,主成分はカテコール類・フェノール類であり,カテコールにメチル基,エチル基などのアルキル基を付加した,多くの種類の物質が含まれていた。このカテコール濃度は約1300ppmであり,他の改質液に比べて極めて高かった。 5.サイクリックボルタンメトリーにより,300℃および330℃改質液中に還元能を有するカテコール類が含まれていることを確かめた。 6.いずれの改質液もCr(VI)還元能力を有しており,その還元能力は低pH領域でより強くなった。 7.330℃改質液は高濃度Cr(VI)溶液に対しても優れたCr(VI)還元能力を示し,pH2で2.7x10^<-2>mol/dm^3Cr(VI)溶液中のCr(VI)を水質の環境基準以下まで24時間以内に低下させた。 8.Cr(VI)を含む改質液についての蛍光分光分析から,各改質液にはCr(VI)還元に関与する物質が含まれていること,330℃および300℃改質液にはその還元に有効に作用する物質としてカテコールがあることを示した。
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