1.水稲の高温登熟に伴う貯蔵物質の蓄積構造の変化と食味への影響を解析する基礎知見として、登熟及び発芽初期生長に伴うデンプン粒及びタンパク顆粒の動態を明らかにした。 2.高温登熟によって形成された多様な屑米及び不完全登熟米について、それらの胚乳構造とアミロプラストの構造変化を詳細に解析し、アミロプラストの多様な形態的異常が生じていること、アミロプラストの増殖様式が変化してアミロプラスト間に隙間が形成されていること、デンプン粒に分解が生じていること、これらが白色不透明粒の生じる要因であることを明らかにした。 3.高温ストレスが珠心表皮の腹側からの退化を著しく促進すること、珠心突起部における栓物質の形成・沈着を促進し、転流ルートの封鎖を早め、胚乳背側部のアミロプラストの異常化と蓄積不良を招き、玄米品質の低下と不完全登熟米の増加に直結していること明らかにした。 4.フェン現象により増加した不完全登熟粒の胚乳構造を解析し、アミロプラストの異常形態の多発により玄米品質が低下したことを明らかにした。 5.13品種の水稲を供試して高温登熟耐性の違いを解析し、珠心表皮の退化速度やアミロプラストの異常化程度に品種間差異が認められることを明らかにし、それらの胚乳構造の特徴を明らかにした。
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