研究概要 |
陸稲の節根における伸長方向と根の直径およ光合成同化産物の転流との関係を13Cを用いて調べた。栄養成長期において,直径の相対的に大きな節根は垂直方向に伸長する傾向を示した。しかし発根節位によってこの傾向は変化した。同じ節位で比較すると,分げつのプロフィル根は他の節根よりも垂直方向に伸長した。垂直方向に伸長した根の根端のコルメラ細胞の幅は広く,根冠細胞には大きなアミロプラストが認められた。同化後21時間後に節根の根端部において最大の13Cラベルが認められた。根端から側根発生部までの距離と根端部における13C濃度との間に正の相関関係が存在した。このことは伸長速度の速い根では光合成同化産物を優先的に受容することを示唆している。垂直方向に伸長した節根の根端部に多くの光合成同化産物が分布される傾向であったが,相関関係は明確ではなかった。 カラスビシャクの球形肥大にともなう光合成同化産物の分配の変化と生育温度の影響を調べた。カラスビシャクは地上部と地下部の双方にそれぞれムカゴと球茎というシンクを有する。光合成同化産物における両者のシンクの関係は,カラスビシャクの生存戦略と生薬原料としての球茎の生産を考える上で重要である。13C供与実験の結果,高温では葉への,中温ではムカゴへの,低温では球茎への光合成同化産物の分配が増加した。地上部の遮光処理によって,13C同化産物のムカゴへの分配が増加し,逆に球茎への分配が減少した。
|