研究概要 |
低酸素感受性のセイロンベンケイと不感受性のパインアップルを用いて,低酸素処理によって生じるCAM型光賛成の消失メカニズムへのミトコンドリア・シアン耐性呼吸の係わりを解明するために,アイソトープマスを用いた^<18>Oディスクリミネイションの解析を行った.21%大気条件下における^<18>Oディスクリミネイションの結果は,供試した両植物において,ミトコンドリア・シアン耐性呼吸活性はPhaseIIIでシトクロム系呼吸と同程度まで増大し,PhaseIIとPhaseIではシトクロム系呼吸の20〜10%に低下することを示していた.つまり,低酸素不感受性のパインアップルにおいてもリンゴ酸の脱カルボキシル化が活発になるPhaseIIIでシアン耐性呼吸の活性化が生じることが明らかになった.さらに,7〜8%の酸素条件下での^<18>Oディスクリミネィションの結果は,PhaseIIIにおいてセイロンベンケイソウ,パインアップル伴に^<18>Oディスクリミネイションが低下し,PhaseIIIにおいてシアン耐性呼吸の低酸素下での抑制が両植物で同様に生じていることを示していた.以上の結果は,低酸素処理によるCAM型光合成の消失の主因は,必ずしもCAMのミトコンドリア・シアン耐性呼吸への依存性ではないことを示唆している. しかし,^<18>Oディスクリミネイションで評価したミトコンドリア呼吸の総括性は,セイロンベンケイソウがパインアップルの3〜4倍高いことも明らかになった.現在,ミトコンドリアレベルでのリンゴ酸の脱カルボキシル化とシアン耐性呼吸の直接的な係わりを検証中であるが,今後は,明期の酸素発生能についても解析を進める予定である.
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