研究概要 |
21世紀は環境の時代といわれる.現代の都市と農村の機能的な関係は,環境保全を軸に再生される必要がある.都市近郊などの都市農村混合空間における環境保全を基調とした再生にあたっては,これらの地域に分布する農林地の積極的な活用が期待される.本研究は,都市農村混合空間に分布する農林地に着目し,農林地の形態とその環境保全上の機能との関係を解明する。解明された知見をもとに,環境保全上望ましい持続的な混合空間のあり方を考察することを目的とする. 本研究の主要な研究成果は,以下の4点にまとめられる.(1)環境保全上望ましい持続的な混合空間を考えることの妥当性を確認するために,都市農村混合空間における過去の機能的な関係を明らかにした.具体的には,過去の都市農村混合空間における代表的な存在である江戸の農地に着目し,分布形態とこれらの形態が成立する要因を明らかにした. (2)都市農村混合空間における農林地の形態とその環境保全上の機能との関係を解明した.具体的には,1)里山と生物相保全機能の関係,2)都市内農地と景観保全機能(開放性)の関係,3)小規模物質循環からみた都市内農地と周辺住宅地との関係を明らかにした.また,熱環境改善効果からみた建築物と緑地の関係を明らかにした. (3)望ましい持続的な都市農村混合空間づくりを支える施策の実施実態を解明した.具体的には,都市住民を交えた都市農業振興施策に着目した.これら施策の実施実態と施策の実施と関係する地域特性を解明した. (4)(1)〜(3)によって解明された知見をもとに,環境保全からみた都市農村混合空間の望ましい空間像と空間像の実現を支える施策からなる計画システムを提案した.
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