研究課題/領域番号 |
12460013
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
藤井 英二郎 千葉大学, 園芸学部, 助教授 (40125951)
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研究分担者 |
多田 充 千葉大学, 自然科学研究科, 助手
三島 孔明 千葉大学, 園芸学部, 助手 (40292669)
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キーワード | ホルトセラピー / 園芸療法 / 認知科学的解析 / 脳波 / 眼球運動 / 感情プロフィールテスト / 心拍変動係数 / 植物栽培 |
研究概要 |
本研究は、栽培行為による療法や植物による心身の癒しをホルトセラピーとし、その効果を認知科学的に解析するもので、平成12年度は、植物を見ているときの眼球運動と脳波の関係解析、栽培行為に伴う生理心理的反応の解析、高齢者の園芸活動や園芸療法の実態調査を実施した。 植物を見ているときの眼球運動と脳波の関係を解析した結果、眼球運動、脳波ともに男女差が明確であり、男女を分けて検討すべきことが確認された。花色の異なるペチュニアを視覚対象にした実験では、男性の場合、視点の分布範囲が広く移動速度も速い場合にはβ波発生量が多くなるのに対して、視点の移動速度は速いが分布範囲が狭い場合にはα波発生量が多くなる傾向が見られた。一方、女性では視点の分布範囲と移動速度に視覚対象間の差がみられないにもかかわらず、β波発生量が多くなる場合とα波発生量が多くなる場合とがみられた。したがって、眼球運動と脳波の間に何らかの関係があることは確認できたが、その関係は男女によって異なり、また眼球運動が速ければβ波発生量が多くなるというような単純な関係でもないことから、眼球運動、脳波ともにさらに細かな解析を行い対応関係を検討することが課題となった。 栽培行為に伴う生理心理的反応の変化について試行的実験を行った結果、植物を単に見た場合に比べて栽培区では男女ともポジティブな感情が増加することが明らかとなった。また、心拍変動係数では男女とも差が見られなかったが、α波割合では男性において栽培区で有意に高くなった。つまり、栽培行為は単に視覚対象とする以上に生理心理的な効果をもたらす可能性が示唆された。 高齢者の園芸活動の実態調査では、心身の健康維持や人間関係の活発化など大きな役割を果たしていることが明らかとなったが、園芸療法としては栽培行為と効果の関係を踏まえたプログラム設定が課題となっていた。
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