研究課題/領域番号 |
12460013
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
園芸・造園学
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
藤井 英二郎 千葉大学, 園芸学部, 助教授 (40125951)
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研究分担者 |
多田 充 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (10302580)
三島 孔明 千葉大学, 園芸学部, 助手 (40292669)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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キーワード | 園芸療法 / 植物の視覚心理的効果 / 認知科学的解析 / 脳波 / 眼球運動 / 感情プロフィールテスト / 心拍変動係数 / 植物栽培 |
研究概要 |
本研究は、栽培行為による療法や植物による心身の癒しをホルトセラピーとし、その効果を認知科学的に解析した。高齢者の園芸活動の実態調査によって、心身の健康維持や人間関係の活発化など大きな役割を果たしていることが明らかとなったが、園芸療法としては栽培行為と効果の関係を踏まえたプログラム設定が課題となっていた。そこで、栽培行為の効果を実験的に検討した。プランターでハツカダイコンを育てる被験者とその結果を見るだけの被験者について、感情プロフィールテストと脳波・心拍を計測した結果、植物を育てることで負の感情が減り、正の感情が増す傾向のあること、またα波が増加する傾向のあることがわかった。しかし、心拍変動係数には明確な違いはみられなかった。つまり、栽培行為は生理・心理的にプラスの効果をもたらすことが示唆されたが、自律神経系の反応にまでは及ばなかった。次に、植物を繰り返し見たり触れたりすることによる心理・行動への影響を、小学校の校庭が芝生に覆われている場合と地面の場合の生徒の行動・意識の比較を通して検討した。芝生の学校では地面の学校の生徒に比べて、15種以上の植物で有意に高い割合で見たことがあるという結果となり、日常的に見たり触れたりすることが認識に大きな差をもたらすことが明らかとなった。同様の影響を、要因を限定して検討するため、小学校4-6年生の稲作作業体験時の行動・発話について調査・分析した。5月の田植えから11月の収穫まで6回の作業を体験する過程で、発話内容は感嘆や感覚、感情に関わるものから観察や愛情へと変化した。各体験後の質問紙調査では、気づきや嫌悪から、認知、観察、さらに愛護や共感へと変化する過程が捉えられた。これらの結果から、作業をしながらイネの成長過程をつぶさに見ることによって観察力が増すとともに、愛護や共感などの慈愛の感情が培われる過程の一端を捉えることができた。
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