研究分担者 |
大城 閑 福井県立大学, 生物資源学部, 助教授 (20115801)
古川 一 大阪府立大学, 大学院・農学生命科学研究科, 講師 (40240957)
上田 悦範 大阪府立大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (50081550)
長谷川 博 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (00090457)
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研究概要 |
Gypsophila(カスミソウ)属の花の発する悪臭成分に焦点を絞り研究を進めている. 悪臭成分を含む香気成分は,Tenax TAを用いて吸着濃備し,それをポリエチレングリコールを充填したキャピラリーカラムを装填し,FIDを検出器とするガスクロマトグラフィーに加熱導入して分析することができた.クロマトグラムの品種比較やGC-MS分析の結果,悪臭の主成分はメチル酪酸と同定された.また,メチル酪酸の発散特性を調べたところ,開花後数日間の満開時の昼間に発散量が多かった.3-メチル酪酸の前駆物質であるロイシンを吸収させると悪臭が強まり,メチル酪酸の発散量が増加したが,2-メチル酪酸の前駆物質であるイソロイシンを吸収させるとメチル酪酸発散量は増加するものの,悪臭は弱く感じられた.また,エタノールを吸収させてもメチル酪酸エステルが生成されないことから,悪臭成分であるメチル酪酸は,アミノ酸からケト酸を経て合成され,それがエステル化されないことから多く発散されているものと考えられ,エタノールを基質とするエステル化酵素がキーエンザイムとして浮上した. 遺伝子導入系の確立および導入手法の開発については,G. elegance Biedの2品種を用いて研究を進めている.plG121-HMをベクターとしてGUG遺伝子をAgrobacterium tumefaciensを用いて導入したところ,発現が確認されたが,安定して発現する再生個体を得るまでには至っていない.また,GUS遺伝子の発現には品種間差が大きく,'クリムソン'での発現が低かった.一方,悪臭発散の遺伝様式を調べるため,G. elegance Bied var. carmineaの悪臭の程度を官能検査したところ,発散の強弱に個体間で相当の変異があることが明らかとなった.さらに,変異を誘発するために種子にガンマ線照射を行い,混合採種を行ってM2個体の変異を調べている.
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