研究課題/領域番号 |
12460019
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
後藤 哲雄 茨城大学, 農学部, 教授 (60178449)
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研究分担者 |
野田 博明 独)農業生物資源研究所, 共生媒介機構研究チーム, チーム長(研究職) (40343991)
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キーワード | Wolbachia / microinjection / 細胞質不和合性 / CFB / クワオオハダニ / 遺伝的雄の雌化 |
研究概要 |
本研究では、Wolbachiaの系統の質的評価を行うため、不和合性発現系統と非発現系統をモデル生物であるウンカにmicroinjection(微量注入)して、その生殖におよぼす影響を判定した。また、ハダニ類に感染している新たな微生物の特定と感染状況について検討した。 1.ヒトスジシマカの培養細胞株を用いて、Wolbachiaの人工培養に成功したので、クワオオハダニのWolbachiaを培養して、ショウジョウバエ卵に微量注入したが、感染させられなかった。この原因は、ハダニのWolbachiaの増殖が悪く、十分な細菌密度に達していないためであると推定された。そこで、ダニを磨砕して直接ウンカに微量注入する試みを行ったが、雑菌による死亡が多く、微量注入には成功していない。ただし、培養細胞株で増殖したウンカのWolbachiaは別種のウンカに導入でき、不和合性を発現させることが出来た。また、異なる培養細胞を用いると細菌密度が高まること、雑菌除去にはWolbachiaに影響がないペニシリンとストレプトマイシン混合剤を用いることで問題を解決できることまでは突き止めた。 2.あらたな細胎内共生微生物であるCFB細菌は、2001年にミナミヒメハダニから検出され、その細菌を抗生物質で除去したところすべて雄の個体が出現したことから、この細菌がヒメハダニに遺伝的雄の雌化を誘起していることが分かった。そこで、研究室で保持している系統を探査したところ、ミズナラハダニ、スギナミハダニ、チビコブハダニ、ナミハダニモドキが感染していることが分かった。これらの細菌は、ミナミヒメハダニと同じクラスターを形成し、今後この作用を検討する段階にある。
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