マンノース結合型イネレクチンといもち病菌のConA結合型糖鎖との相互作用

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12460021
• 研究機関: 東京農工大学
• 研究代表者: 寺岡 徹 東京農工大学, 農学部, 教授 (60163903)
• 研究分担者: 千葉 一裕 東京農工大学, 農学部, 助教授 (20227325)
• キーワード: イネ / レクチン / 形質転換 / Con A結合型糖鎖 / 病害抵抗性 / いもち病 / 病原性因子

研究概要

本年度実施計画の下記の3項目について以下の成果が得られている。
(1)MRL未同定遺伝子の探索とクローニング
既に同定したsalT遺伝子類似のMRL4.85遺伝子以外のイソレクチン遺伝子の存在がゲノムサザン解析から示唆された。農水省生物資源研耐病性研究室で構築されたイネゲノムBACライブラリーではMRL4.85は単一クローンとしか反応しなかったことから、MRL4.85を含む類似遺伝子がクラスターを成しているものと推察され、そのクローンを解析中である。
(2)MRL4.85遺伝子発現制御組換え体イネの創成
CaMV35Sプロモーターを高発現化させたpC1304Eの下流に、GFP/GUSのレポーター遺伝子およびMRL4.85遺伝子を正逆両方向に組み込んだbinary vectorを構築した。現在、そのベクター系を用いて、MRL4.85遺伝子の発現増幅型および発現抑制型形質転換体イネを創成中で、形質転換体イネカルスレベルでの選抜検定を行っている。確認され次第、MRL遺伝子の発現といもち病菌ConA結合型糖タンパク質の相互作用を検証する。
(3)いもち病菌が分泌するConA結合型糖タンパク質糖鎖の構造解析
いもち病菌胞子発芽液からConA affinity columnを用いて、ConA結合型糖タンパク質を回収しHPLC等で分離解析後、目的とする主要糖タンパク質が約28Kでること、その活性はイネ葉鞘以外のセロファン等のin vitro検定系でも確認できることを明らかにし、今後、酵素的にタンパク質と糖鎖を分離後、NMRならびにTOF-MS等の機器分析により構造解析を行う段階まできている。

研究成果

• [文献書誌] HIRANO,K.,TERAOKA,T., et al: "Novel Mannose-Binding Rice Lectin Composed of Some Isolectins and Its Relation to a Stress-Inducible salT Gene"Plant & Cell Physiology. 41(3). 258-267 (2000)
• [文献書誌] TERAOKA,T.,NAGAOKA,M. et al: "Possible role of Concanavalin A-Binding Glycoprotein (s) Secreted from Germinating Conidia of Magnaporthe grisea"Advances in Rice Blast Research. 281-285 (2000)
• [文献書誌] KIM,S.,CHIBA,K. et al: "Alkylindan Synthesis via an Intermolecular [3+2] Cycloaddition between Unactivated Alkenes and in situ generated P-Quinomethanes"Tetrahedron Letters. 41. 7079-7083 (2000)
• [文献書誌] YANG.Z.,KITANO,Y.,CHIBA,K. et al: "Synthesis of Variously Oxidized Abietane Diterpenes and Their Antibacterial Activities against MRSA and VRE"Bioorg.Med.Chem.. 9(2). 347-356 (2001)
• [文献書誌] CHIBA,K.,KONO,Y. et al: "A Perfluorinated Micellar Reaction System in Lithium Perchlorate/Acetonitrile ; Enhanced Efficiency in Anodic Electron-Transfer and Intermolecular Cycloaddition "Electrochemistry Communications. 3(2). 63-66 (2001)