研究課題/領域番号 |
12460022
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
川北 一人 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (90186065)
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研究分担者 |
吉岡 博文 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助手 (30240245)
道家 紀志 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (80023472)
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キーワード | 感染防御応答 / 抵抗性 / タバコ / エリシター / サリチル酸 / Differential Display / ロイシンリッチリピート / レセプター |
研究概要 |
病原菌の感染に対する植物の防御応答において、新規な抵抗性関連因子を見いだし、これら因子の防御応答における機能を解明することを本研究の目的とした。まず、タバコ葉に疫病菌菌体壁成分エリシター(HWC)を処理し、種々の抵抗反応、すなわち(1)初期抵抗反応としてのフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)遺伝子の発現、(2)後期抵抗反応としての感染特異的(PR)タンパク質の発現、(3)過敏感細胞死などを確認して実験系を確立した。この系を用いて抵抗反応誘導時に特異的に発現する遺伝子の単離をDifferential Display法により試みた。その際、購入した微量高速遠心機を試料調製に、ゲル撮影装置を試料分析に用いた。HWC処理および水処理タバコ葉から全RNAを経時的に抽出し、132種のランダムプライマーを用いてRT-PCRを行い、HWC処理タバコ葉のRNAを鋳型とした場合に特異的に増幅したPCR産物を得た。うち2種の断片をプローブとしてHWC処理12時間後のタバコ葉より作製したcDNAライブラリーをスクリーニングした。1種は新たなエリシター応答性シトクロムP450遺伝子であり、CYP82E1と名付けた。他の1種D44-12遺伝子はトマト葉かび病菌に対するトマトの抵抗性遺伝子であるCf遺伝子群と高い相同性を示し、ロイシンリッチリピート(LRR)や膜貫通領域といった特徴的な構造を有した。そこで、本遺伝子をEILP(Elicitor-Inducible LRR Receptor-Like Protein)遺伝子と名付けた。EILEの発現は傷処理では全く誘導されず、サリチル酸処理の場合に24時間後をピークとして認められた。また、非病原菌であるダイズ斑点細菌病菌(Pseudomonas syringae pv.glycinea)接種葉では接種後12-24時間をピークとする一過的な発現誘導が認められたのに対し、病原菌であるタバコ野火病菌(P.syringae pv.tabaci)接種葉では接種後36時間に発現誘導が認められた。EILPは病害ストレスに対する感受性を高めるためのレセプターである可能性が考えられた。
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