エリシター処理したエンドウ上胚軸由来のcDNAライブラリーから新たに6種のDOfドメインを有する完全長のcDNAを単離し、それらのDNA塩基配列を解読した。その結果、新規Dof遺伝子(PsDof2-7)から推定されるDofタンパク質は230から396個のアミノ酸からなるタンパク質をコードし、いずれもアミノ末端側に保存されたDofドメインを有していた。更にDofドメインのすぐC末側にはセリンやスレオニンに富んだ領域があり、リン酸化や脱リン酸化によりDNAの結合能、転写活性化能、他のタンパク質との相互作用の制御に関与している可能性が示唆された。また、PsDof3とPsDof4にはグルタミンに富んだ領域が、PsDof4にはアスパラギンに富んだ領域が存在し、これらの領域もまた転写制御に関与している可能性が考えられた。これら7種のDofタンパク質のアミノ酸レベルでの相同性を比較した結果、PsDof1とPsDof2は57%の、PsDof3とPsDof4は47%の、PsDof5とPsDof6は25%の、PsDOf7はタバコのNtBBF1と44%の相同性を示した。このことからPsDofファミリーはDof以外はユニークな構造を有しているものの、いくつかのサブグループに分類できると考えた。それぞれの遺伝子の発現のノーザン解析の結果、PsDof1とPsDof2を除くPsDof遺伝子の発現は極めて低いためか検出することができなかった。PsDof1とPsDof2についてはエンドウ上胚軸でエンドウ褐紋病菌由来のエリシターで発現が誘導される傾向が見られたが、更に詳細な解析が必要である。
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