1)イネ葉の一生を通してのRubiscoタンパク量の変動と単位時間当たりの生成量・分解量を調べ、それらと大、小サブユニットのmRNA量の変化、rbcS、rbcL遺伝子の量的変動、rRNA量の変動等との関係について解析した。その結果、葉の一生におけるRubisco生成の7-9割は、葉の展開終了時までに終えており、その生成量は葉の一生を通して大小サブユニットのmRNA量とおよそパラレルな関係にあることが分かった。葉の展開終了後は大小サブユニットのmRNA量、なかでもrbcS mRNA量のレベルは特に低く、Rubisco合成のポテンシャルが大きく低下していた。Rubiscoの分解は展開終了頃には既に始まり老化初期にピークがあった。老化過程における分解量は生成量をずっと上回っており、葉のRubisco量は分解速度によって主に支配されていることが明らかとなった。rbcL DNA量は葉の展開後半に最高値に達したのち徐々に減少していったが、rbcL mRNAほど急激には減少せず、mRNAレベルを直接の支配因子ではなかった。 2)我々は先に、活性酸素によりRubiscoが部位特異的に断片化されることを見出した。本研究においてはその断片化が活性中心の金属結合部位から12Å以内の範囲でのみ生じていること、およびその断片化がFe^<2+>、H_2O_2濃度依存的に生じること、さらにGS2においても同様な機構で部位特異的な断片化が生じることが明らかとなった。
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