研究課題/領域番号 |
12460032
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
舟川 晋也 京都大学, 農学研究科, 助教授 (20244577)
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研究分担者 |
田中 壮太 高知大学, 農学部, 助手 (10304669)
平井 英明 宇都宮大学, 農学部, 助教授 (20208804)
田中 樹 地球環境学堂, 助教授 (10231408)
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キーワード | 表面流去水測定 / 降雨強度 / 土壌水分含量 / 焼畑耕地 |
研究概要 |
土壌水分モニタリングシステムを用いて、傾斜地における表面流去水および土壌侵食発生初期条件とその過程に関する解析を行った。調査地は、石川県の耕作跡傾斜地、タイ国北部の焼畑耕地、タイ国北部の粘土質常畑耕地、タイ国東北部の砂質常畑耕地の4地点である。 その結果、降雨強度、土壌水分含量、表面流去水発生量の間に以下のような関係が観察された。 1)石川県の耕作跡傾斜地土壌(Dystrudepts)は、表層の仮比重が0.8g/cm^3前後と透水良好な、中粒質の褐色森林土である。ここでは予想に反して、表面流去水の発生は、初期体積含水率が0.4未満の比較的乾状態の時に限られた。乾状態では、土壌表面での初期浸透が妨げられるためであろう。また十分間隔で測定した土壌水分増加量と表面流去水発生量の和は、降雨量と比例関係にあった。降水量と(土壊水分増加量+表面流去水発生量)の差より下方浸透水量を推定したところ、降雨強度が2mm/10分未満の場合、表層土壌の体積含水率0.42を境として、それより湿状態で下方浸透が発生した。一方降雨強度が2mm/10分以上の場合、初期土壌水分含量と下方浸透水発生量の間には明確な関係が見られず、不飽和浸透の起こっていることが示唆された。 2)タイ国北部の焼畑耕地(Haplohumults)の透水性は概して良好であった。表面流去・土壌侵食共に、比較的起こりにくい状況にあった。初期体積含水率が0.45を越えるあたりで、表面流去の発生が認められた。 3)タイ国北部の石灰質母材由来暗赤色土常畑耕地(Haplustalfs)では、透水性は良好であり、表面流去水発生条件は、2)の焼畑耕地に類似していた。 4)タイ国東北部の砂質耕地土壌(Ustipsamments)は、調査対象地のうちではもっとも透水性が低かった。表面流去水発生限界含水率も低く、数十ton/ha/yrに及ぶ土壌侵食が発生していた。以上、試作された本装置によって、降雨強度、土壌水分含量、表面流去水発生量(以上実測)、および下方浸透水量(推定)の測定が可能である。
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