研究課題
(1)植物根による水溶性有機化合物の吸収:耐湿性の強いシコクビエ幼植物と1mM L-glycine溶液を用いて低分子有機化合物吸収実験方法を検討した。その結果、(1)数時間以内の吸収実験では混入微生物の影響はほとんど認められないこと。(2)30-60分ごとに吸収液を交換し、吸収液アミノ酸濃度の変化を追跡することにより、微生物の影響をほぼ排除でき、かつ再現性の良いデータを得られること等が分かった。この方法を用いて、アミノ酸吸収に及ぼす温度や光条件の影響を検討したところ、L-glycine吸収が温度依存性であり、過去48時間の光条件にも強く影響されることが判明した。上記の方法により、各種水溶性アミノ酸類や無機窒素の吸収を比較したところ、L-glutamic acid、L-aspartic acid、L-lisineの吸収が顕著で、多くの光環境条件下でアンモニウムイオンや硝酸イオンより高い吸収量を示した。このことは一部のアミノ酸が無機窒素より植物の吸収利用性が高いことを示している。さらに、多くのアミノ酸類の吸収は吸収開始後ほぼ直線的に進行し、通常の無機陽イオン吸収とは異なる吸収経過を示したので、吸収機構そのものが多くの無機イオンとは異なる可能性が示唆された。(2)土壌中の低分子有機化合物の検索:圃場条件下で植物のリン酸源として有効と考えられるリン脂質脂肪酸(PLFA)の変動を検討した。その結果、PLFAは添加有機物の種類により組成が異なるが、時間の経過に伴って一定の方向に収斂する傾向を示した。
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