研究概要 |
1)性決定との関わりが予想されるニワトリW染色体上のPKCI-W, Z染色体上のPKCI-Z遺伝子のタンパク質機能を大腸菌で発現させたタグ付加、融合タンパク質を用いてin vitroで解析した。4種のタンパク質:GST(グルタチオン S-トランスフェラーゼ)-PKCI-Z-FLAG, MBP(マルトース結合タンパク質)-PKCI-Z-His, MBP-PKCI-W-FLAG, MBP-PKCI-W-Hisを精製し、生物活性を調べたところ、PKCI-Zを含む2種のタンパク質が哺乳類のPKCI/HINTと同様に、アデノシンに対する高親和結合活性とAMPアミデート加水分解活性を示すことが認められた。PKCI-Zを含むタンパク質とPKCI-Wを含むタンパク質をモル比1:0〜1:3の割合で混合、グアニジン塩酸処理後、透析することによりPKCI-Zの両生物活性ともドミナントネガテイヴに阻害されることが示され、PKCI-WがPKCI-Zとヘテロ2量体を形成してPKCI-Zの機能を妨げるというモデルが支持された。 2)ニワトリZ染色体上のZOV3遺伝子は免疫グロブリンスーパーファミリーに属するタンパク質をコードし、卵巣卵胞のエストロゲン合成系遺伝子発現細胞の細胞膜で高発現する。ZOV3の機能を探るため、卵胞顆粒膜細胞の初代培養系にZOV3 RNAiを導入して、ZOV3 mRNAを特異的に分解し、その影響を解析する実験を計画し、その準備実験をおこなった。その結果、F1〜F4卵胞由来の顆粒膜細胞の初代培養48時間以内ではRT-PCRで検出されるZOV3 mRNAおよびSF-1 mRNA量がいずれも同程度であることが示された。また、ZOV3のN末側(アミノ酸残基1-160),C末側(アミノ酸残基174-327)のポリペプチドを大腸菌で発現、精製し、N末側はウサギに、C末側はマウスに免疫してポリクローナル抗体を作製した。
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