研究概要 |
酵母では、約40の液胞関連変異株としてA〜Fの6つのクラスが知られている。これらの中には、液胞形態そのものには変化のないもの(クラスA)、液胞がフラグメント化したもの(クラスB;vam4,vam6,vam7など)、液胞の形成が全く認められないもの(クラスC;slp1,vam1,vam8など)、娘細胞に液胞が形成されないもの(クラスD)、pre-vacuolar compartment様の特異な形態をもつもの(クラスE)、一部フラグメント化した形態をもつもの(クラスF)がある。昨年までに、A.nidulansから液胞形成関連遺伝子として、vpsA(VPS1ホモログ)、vpsB(VPS45ホモログ)、vpsC(VPS21ホモログ)及びavaA(VAM4ホモログ)遺伝子を取得し、vpsA、avaA遺伝子破壊によりコウジカビでの液胞形成が不完全になっていることを確認している。本年度では、rab5ホモログおよびvam6/vps39ホモログ遺伝子をA.nidulansから単離し、それぞれrabF,avaBと命名した。rabF破壊株は液胞形態に変化はなく、エンドサイトーシスに欠損を示した。また、,avaB破壊株は細分化した液胞を形成するなど酵母と同様の表現型を示した。これらについては、詳細な生育特性について解析を行った。 A.nidulansの液胞機能を調べるために必須である液胞マーカー酵素としてA.nidulansからカルボキシペプチダーゼY遺伝子ホモログ(cpyA)を単離し、EGFPとの融合遺伝子を発現させたところ、蛍光顕微鏡により液胞に緑色蛍光が観察され生きたまま、液胞を観察する系を構築するのに成功した。
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