研究概要 |
酵母では、約50の液胞関連変異株としてA〜Fの6つのクラスが知られている。これらの中には、液胞形態そのものには変化のないもの(クラスA)、液胞がフラグメント化したもの(クラスB ; vam4, vam6, vam7など)、液胞の形成が全く認められないもの(クラスC ; slp1, vam1, vam8など)、娘細胞に液胞が形成されないもの(クラスD)、prevacuolar compartment様の特異な形態をもつもの(クラスE)、一部フラグメント化した形態をもつもの(クラスF)がある。これまで、A..nidulansから液胞形成関連遺伝子として、vpsA(VPS1ホモログ)、vpsB(VPS45ホモログ)、vpsC(VPS21ホモログ)、avaA(VAM4ホモログ)、avaB(VAM6/VPS39ホモログ)遺伝子を取得し、これらの遺伝子破壊によりコウジカビでの液胞形成に異常が見られることを確認した。それぞれの破壊株の生育特性についても検討を行うとともに、酵母two-hybrid法によりavaAとavaBが相互作用をすることを見出した。 また、rabF(rab5ホモログ)遺伝子をA. nidulansから単離し、rabF遺伝子破壊株を作成したところ、液胞形態に変化はなく、エンドサイトーシスに欠損を示した。液胞マーカー酵素であるカルボキシペプチダーゼY遺伝子(cpyA)とEGFPとの融合遺伝子を発現することにより、生きたままの細胞で液胞を可視化することに成功した。現在、本融合遺伝子を麹菌に形質転換した株を親株として、液胞内酵素を細胞外に分泌する変異株をスクリーニングしている。さらに、核運搬に関与する遺伝子でるarpA吟遺伝子破壊株では、核のみではなく、液胞の局在にも影響があることを明らかにした。
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