研究概要 |
これまで、A. nidulansから液胞形成関連遺伝子として、vpsA(酵母VPS1ホモログ)、vpsB(VPS45ホモログ)、vpsC(VPS21ホモログ)、avaA(VAM4ホモログ)、avaB(VAM6/VPS39ホモログ)遺伝子を取得し、これらの遺伝子破壊によりコウジカビでの液胞形成に異常が見られることを確認した。液胞マーカー酵素であるカルボキシペプチダーゼY遺伝子(cpyA)とEGFPとの融合遺伝子を発現することにより、生きたままの細胞で液胞を可視化することに成功した。さらに、本融合遺伝子を麹菌A. oryzaeに形質転換した株を親株として、液胞内酵素を細胞外に分泌する変異株をFACS(fluorescence-activated cell sorter)及び蛍光マイクロプレートリーダーを用いて約6万株からスクリーニングを行いhfc(hyper-EGFP fluorescence in conidia)変異株を18株、dfc(dark EGFP fluorescence in conidia)変異株を20株、hfm(hyper-EGFP fluorescence in the medium)変異株22株を単離した。hfc-1変異株は、アルカリ性培地での生育が極度に低下していた。酸性培養時のhfc-3,dfc-14,hfm-4変異株及びアルカリ性培養時のhfc-4変異株では、出芽酵母のClass B vps変異株のように細分化した液胞が観察され、アルカリ性培養時のdfc-14、hfm-4変異株では酵母のClass E vps変異株のように液胞周辺のドット状の構造へのCPY::EGFPの蓄積が認められた。また、A. oryzaeに特有の表現型として、液胞の細分化に伴い多分岐などの菌糸の形態異常が多くの変異株で認められた。
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