強力PCB分解菌Rhodococcus sp. RHA1株において分解酵素誘導を支配する2つの制御遺伝子群bphS1T1及びhS2T2の制御機構に関わる解析を行い以下の結果を得た。 1.bPhS1T1、bPhs2T2の誘導基質特異性と基質認識領域の解明では、互いに相同伴の高いBPhS1とBphS2の基質特異件について解析した。その結果、両者とも幅広い芳香族化合物に対して応答するが、ビフェニルに対して応答するのはBphS1のみであることが明らかになった。また、BphS1-BphS2ハイブリッドセンサーを構築して解析した結果、基質認識に関与する部位ががN末から400アミノ酸中に存在することが明らかとなった。 2.BphSタンパク質によるBphTタンパク質リン酸化部位の解明では、BphS2/BphS2のリン酸化部位について研究を行った。BphS1とBPhS2の推定リン酸化部位である1411目のHisをArgに置換しチオレドキシンと融合したtrx-bphS (H1411R)を保持するプラスミドを構築し、各基質に対する誘導性を調べた。コントロールとして変異をかけていないtrx-bphS1/S2を用いた。その結果、BphS (H1411R)では基質に対する誘導性が失われていた。各BphSタンパク質が発現していることはチオレドキシン抗体を用いたウエスタンブロット実験により確かめられた。以上のことからBphS1とBPhS2のHis1411はこれらの誘導性において重要なアミノ酸であることが示された。また、BphS1-BphT2、BphS2-BphT1間でのシグナル伝達のクロストークが起こることを明らかにした。 3.BphT1、T2の結合配列と結合様式の解明では、bphAプロモーターの他にも、etbA1、ebdA1、etbD1、bphA4-2の各プロモータからの転写もbphSTが担っていることが示された。これらの各転写開始点をプライマー伸長法によって決定した結果、それぞれの転写開始点は翻訳開始コドンの上流156bp、350bp、64bp上流であることが判明した。転写開始点の上流配列を解析した結果、-35付近に保存された配列が存在することが判明し、この配列がBphTの結合領域である可能性が示唆された。プロモーターとBPhTタンパク質の結合を調べるために、大腸菌を用いたBPhT1の高発現系を構築し、BphT1を精製した。
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