機能解析・新機能物質創製を指向する光学活性物質の合成研究

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12460050
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 北原 武 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (40087573)
• 研究分担者: 石神 健 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (70292787) ; 渡邉 秀典 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (00202416)
• キーワード: 昆虫摂食阻害物質 / 幼弱ホルモン生合成阻害 / ファイトシデロフォア / グルコシダーゼ阻害剤 / 細胞周期阻害剤 / 構造活性相関 / バイオプローブ / ムギネ酸

研究概要

1.昆虫摂食阻害活性、成長阻害活性や忌避活性を示すアザヂラクチンの実践的合成手法を確立するするべく基本骨格の構築を進めている。関連の化合物タナバリンやムコニンの合成を完了し、各種の類縁体を得て、現在活性試験を進めている。
2.最近発見された昆虫幼若ホルモン生合成阻害物質ブレビオキシムの光学活性体の合成に成功し、やはり類縁体各種を得て、構造活性相関を検討中である。
3.重要穀類であるイネ科植物の鉄欠乏劣化土壌における生育の可能性を秘めた興味有るファイトシデロフォア、ムギネ酸類については、簡便な合成を達成後、類縁体を含めさらに広範な合成研究の展開により、類縁体を種々得た。植物生理学者との共同研究により、天然物よりも遙かに活性の強い誘導体を最近得て、詳細な生理学研究・甫場試験を含めた応用研究が進行中である。
4.選択的なグルコシダーゼ阻害剤A-76202の合成に成功し、関連類縁体を各種得ており、生化学者との共同研究で構造活性相関を検討中である。
5.細胞周期阻害物質の抗腫瘍性活性に着目して、新しいタイプの制癌剤としての可能性を持ち、細胞周期阻害剤で分化誘導能・抗腫瘍活性を有するFR901464の全合成につい最近成功した。現在生化学者と共同で、機能解析を行うためのプローブ調製を進めている。

研究成果

• [文献書誌] Y.Nishimura and T.Kitahara: "Concise Synthesis of (±)-Brevioxime"Heterocycles. 52巻. 553-556 (2000)
• [文献書誌] K.Uchida,H.Watanabe and T.Kitahara: "Synthesis of (±)-(3R^*,4S^*,4aR^*)-4,8-Dihydroxy-3-methyl-3,4,4a,5-tetrahydro-1(H)-2-benzopyran-1-one."Heterocycles. 53巻. 539-542 (2000)
• [文献書誌] W.-Q.Yang and T.Kitahara,: "Total Synthesis of a Nonclassical Bioactive Acetogenin, (+)-Muconin."Tetrahedron. 56巻. 1451-1461 (2000)
• [文献書誌] K.Kuramochi,H.Watanabe and T.Kitahara: "Synthetic Study on Oximidines : A Concise Synthesis of (Z)-enamides."Synlett. 397-399 (2000)
• [文献書誌] K.Ishigami,H.Motoyoshi and T.Kitahara: "First Total Synthesis of Mueggelone."Tetrahedron Lett. 41巻. 8897-8901 (2000)
• [文献書誌] H.Watanabe,H.Watanabe,H.Osada and T.Kitahara 他: "Synthesis of Pironetin and Related Isomers : Studies on Structure-Activity Relationships as Tublin Assembly Inhibitors."J.Antibiot.. 53巻. 540-545 (2000)
• [文献書誌] 北原武: "現代化学・増刊「生物活性天然物の合成:複雑な構造をいかにして構築するか(桑嶋功,伊藤嘉彦,奈良坂紘一,鈴木啓介 編)"東京化学同人. 162 (2000)
• [文献書誌] 北原武: "季刊・化学総説No.45天然物の全合成:今日、明日、そして未来へ〔竜田邦明,北原武,福山徹 編〕"学会出版センター. 273 (2000)