研究課題/領域番号 |
12460051
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山根 久和 東京大学, 生物生産工学研究センター, 教授 (80090520)
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研究分担者 |
西山 真 東京大学, 生物生産工学研究センター, 助教授 (00208240)
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キーワード | イネ培養細胞 / 病害抵抗性 / シグナル伝達 / ジャスモン酸応答性遺伝子 / 形質転換植物 / フィトアレキシン / ジテルペン炭化水素環化酵素遺伝子 |
研究概要 |
前年度に引き続いて、イネ培養細胞からディファレンシャルスクリーニングにより得られたジャスモン酸(JA)応答性遺伝子の機能解析を行った。JAの生合成酵素遺伝子の一つである12-oxophytodienoic acid (OPDA) reductaseをコードしているOcOPR1については、基質特異性を詳細に検討し、天然型OPDAより非天然型OPDAに対して反応性が高いことを示し、その生理学的機能について考察した。早期にJAに応答する転写因子遺伝子RERJ1については、センスRNA、あるいはアンチセンスRNAを過剰発現する形質転換体イネの表現型を解析し、アンチセンス体においてある種の抗菌性タンパク質の発現が抑制されている可能性を示した。また、すでにORF全長を含むcDNAを単離していた、フィトアレキシン生合成の鍵酵素であるジテルペン炭化水素環化酵素遺伝子OsDTC1を大腸菌で発現させ、その遺伝子産物の機能解析を行い、イネに含まれる、未同定のジテルペン炭化水素を生産する環化酵素遺伝子であることを明らかにした。このジテルペン炭化水素は、エリシター処理により数百倍に増加することも本研究で明らかにしているので、イネのフィトアレキシンの生合成前駆体であるものと考えられる。 一方、ダイズ培養細胞から酵母のthree-hybrid systemを用いることにより一種のJA受容体候補タンパク質遺伝子を単離した。この遺伝子がコードするタンパク質は、ある種の病害抵抗性タンパク質に特徴的な保存配列を有している他、カルシウム結合領域と考えられるモチーフも併せ持つきわめて興味深い構造を有している。現在、本遺伝子産物がJA結合活性を有するかどうかの検討を行っている。
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