研究課題/領域番号 |
12460054
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
加藤 久典 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (40211164)
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研究分担者 |
吉澤 史昭 宇都宮大学, 農学部, 助教授 (10269243)
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キーワード | アミノ酸 / ロイシン / 転写因子 / IGF結合タンパク質 / フォークヘッド / 翻訳制御因子 / DNAマイクロアレイ / エチオニン |
研究概要 |
アミノ酸、特にロイシンによるIGFBP-1遺伝子の発現制御について解析を進め、細胞内にロイシンを認識する因子が存在し、それはロイシン代謝物であるαケトイソカプロン酸も認識しうることを発見した。前年度の細胞内へ入り得ないロイシン誘導体(Leu-MAP)を用いた解析で、細胞外アミノ酸受容体の存在が示唆されたが、Leu-MAPの作用において末端のロイシンの切断が必要であることを明らかにし、細胞外受容体の存在は否定された。さらに、ロイシンの効果には何らかの因子の核外移行が必要であることを阻害剤を用いた検討で明らかにした。その因子の最有力候補と考えられるForkhead型転写因子FKHRやAFXは、そのmRNAレベルだけでなくタンパク質量においてもアミノ酸やタンパク質に応答して変化することを明らかにした。一方、タンパク質やアミノ酸に対してIGFBP-1と逆の応答を示すIII型コラーゲン遺伝子を標的とした解析も進め、その制御には特にグルタミンが重要であること、グルタミンの作用はATP合成を介していることを見出した。さらに、翻訳調節機構に関しても、肝臓の翻訳開始調節因子のeIF-4E、4E-BP1、S6 kinase 1のリン酸化はエチオニン投与によるATP濃度の低下により減少し、メチオニンとアデニン投与によるATP濃度の回復で増加することを見出した。以上のように、アミノ酸の作用機構においてATPが関与する経路が転写・翻訳の両方において重要であることがわかった。さらに、タンパク質栄養状態の悪化に伴う遺伝子発現の変化を網羅的に解析し、肝臓および筋肉で数百種類の遺伝子がタンパク質栄養に応答しやすい遺伝子として同定された。これらにはコレステロール代謝に関わる遺伝子や、転写や翻訳に関与する遺伝子が数多く含まれていた。
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