研究課題/領域番号 |
12460057
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松野 隆一 京都大学, 農学研究科, 教授 (30032931)
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研究分担者 |
島 元啓 京都大学, 農学研究科, 助手 (60293916)
木村 幸敬 京都大学, 農学研究科, 助手 (70211878)
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キーワード | 腸管吸収モデル / 疎水性物質の吸収 / 液状脂質 / Caco-2細胞 |
研究概要 |
本研究では、血流とリンパ流を独立に制御でき、疎水性物質の腸管からの吸収過程を簡便に解析でき、生体での現象と比較可能な腸管モデルの確立を目指し、親水性と疎水性のフォローファイバーや平膜を用いた親水性-疎水性システムの開発を目的としている。平成12年度は、簡易モデルでの吸収実験と血流およびリンパ流としての溶液の選定を行った。まず、現在までに提唱されている代表的な腸管モデルである、平膜型のメンブランフィルターに培養した腸管上皮細胞Caco-2を用いて疎水性物質の吸収過程を解析した。疎水性物質にはフラボノイド類と疎水性アミノ酸のエステル体(Trp-OEt)を用いた。フラボンとゲニステイン(イソフラボン類)は初期供与量の約50%が細胞内に蓄積された。すなわち、疑似リンパ液が存在しないモデルでは細胞内に蓄積されることが確認された。血液側に相当する溶液中に牛血清アルブミンを添加して同様の実験を行ったが、5%の濃度では細胞内蓄積量を変化させなかった。一方、Trp-OEtは細胞内には蓄積されなかったがエステル結合が速やかに分解された。脂肪酸を同時に加えると分解されずに吸収された。NMRにより疎水性の複合体の形成が示唆され、混合物で摂取した際の疎水性物質の吸収様式の変化も今後の研究展開には考慮すべきであることが示された。 疎水性物質の移行が血流を越えて速やかに起こりえるためには、疑似リンパ液の選択が重要である。オレイン酸やトリカプリリンのような液状脂質を疑似リンパ液の候補としてフラボノイド類の分配を測定した。フラボンはlogP値3以上、ゲニステインとクエルセチン(フラボノール類) 1〜2の値で液状脂質に分配した。また、Trp-OEtもトリグリセリドには0.5程度オレイン酸には2.5のlogP値で分配した。これらの液状脂質が疎水性物質を十分に分配させることが示された。
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