研究分担者 |
斎藤 秀之 北海道大学, 農学研究科, 助手 (70312395)
船越 三朗 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助手 (60001476)
松田 彊 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (30002075)
小林 元 九州大学, 農学研究院, 助手 (40325494)
岡野 哲郎 九州大学, 農学研究院, 助教授 (00194374)
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研究概要 |
本研究では,異なる地域から収集し,複数の地域に播種・移植されたナラ類の母樹系統次代について,諸形質を調べることにより,(1)北海道・中国大陸のナラ類が持っている遺伝的変異の実態を明らかにすること,(2)異なる生育環境において,諸形質がどのように発現しているかを明らかにすること,(3)量的形質等と遺伝・環境要因との関係を考察することを目的としている。 このため,本研究の3年次にあたる本年度は,1)母樹とは異なる環境に移植されたナラ類次代にみられる遺伝と環境の影響と,2)雑種とその親種との光合成速度の違いについて調べた。 1)北海道内の1産地試験地において,中国産モンゴリナラ次代と試験地と同じ産地のミズナラ次代の葉形質を調べるとともに,それらの母樹の葉形質と比較検討した。母樹と次代の似通い度から,一部の形質を除き,母方の遺伝の影響が大きいことが示唆された。また大半の葉形質で,移入により緯度・経度が変化したことに伴い,方向性をもった変化が生じていることが分かった。 2)ナラ類は相互に自然雑種を形成していると推定され,それがナラ類の遺伝的変異を大きくする一因となっている。ミズナラと人工交配によるミズナラ×カシワ雑種について,光合成速度の日変化を調べた。その結果,成長の速い雑種の光合成速度はおおむねミズナラより小さく、成長の差異をもたらす要因については個葉の光合成速度の日変化のみでは論じられないことが分かった。また,葉面飽差の増大が両家系の光合成速度に与える影響は小さく、葉温上昇が光合成速度の日中低下の違いを生じる要因の1つである可能性が考えられた。水ポテンシャルの低下も日中低下の要因である可能性が考えられた。
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