研究課題/領域番号 |
12460064
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
清和 研二 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (40261474)
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研究分担者 |
小池 孝良 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (10270919)
菊沢 喜八郎 京都大学, 大学院・農学研究科, 教授 (50271599)
陶山 佳久 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (60282315)
柳井 清治 北海道工業大学, 環境デザイン学科, 教授
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キーワード | オノエヤナギ / イヌコリヤナギ / 繁殖構造 / 安定同位体 / AFLP / 性比 / 繁殖投資量 / 資源獲得効率 |
研究概要 |
1.オニグルミの繁殖様式:宮城県鳴子町および北海道厚田町に設定した密度の異なる2つのオニグルミ個体群において、交配可能範囲を示す有効花粉飛散距離を分子マーカー(AFLP)を用いて明らかにした。両林分とも雄先熟・雌先熟両タイプが相補的に交配を行っていることを明らかにした。 2.オノエヤナギの個体群の発達にともなう性比の変化:北海道石狩川のオノエヤナギを主とした河畔林において、個体群の生育段階の異なる3つの林分(若齢・中齢・高齢林分)に大面積固定調査地を設定し、生育段階にともなう性比の変化を調べた。生育段階に伴い性比は次第に雌雄比が2対1に変化した。この性比の変化は雌雄間の個体群動態パラメタ劫(死亡率・成長率)や無性繁殖の頻度の違いによるのものではなく、初期性比の違いが個体の成熟とともに表れたことによるものであることが推察された。 3.ヤナギ類の光合成特性と繁殖コスト補償機能:ヤナギ科樹木の2種の雄・雌の光合成速度を比較した。イヌコリヤナギでは雄の方が雌よりも純光合成速度が低かったが、オノエヤナギでは雄の方が雌より葉の窒素濃度は高いものの光合成速度に雌雄間の違いは見られなかった。両ヤナギともに雌の繁殖投資量は雄より大きく、イヌコリヤナギの雌は高い光合成速度を持つことにより繁殖コストを補償しているものと考えられた。オノエヤナギは個葉のSLAやシュ劫トレベルでの葉への配分比を大きくすることによって繁殖コストを補償しているものと考えられた。 4.河畔林の水生昆虫への餌給仕機能:北海道ゴキビル川とその河口域で、山から海への食物連鎖の実態解明を安定同位体を用いて行った。海に流れ込んだ樹木の葉を海のベントスが食べ、さらにそれらを魚類が食べることが安定同位体解析から実証された。しかし、餌植物や捕食者の組成さらには食物網自体にも大きな季節変動があることが示唆された。
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