研究課題/領域番号 |
12460066
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 和夫 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80162931)
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研究分担者 |
坂上 大翼 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (90313080)
松下 範久 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (00282567)
山田 利博 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (30332571)
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キーワード | マツ材線虫病 / 病徴制御物質 / キャビテーション / 光合成阻害 / 低糖類 |
研究概要 |
マツ材線虫病の病徴進展を制御する因子について明らかにするために、病原-宿主細胞間で引き起こされる反応について調べた結果、新たに以下の点が明らかにされた。 (1)病徴進展と密接な関係にあるキャビテーションの発生とその原因について解析するために、走査型電子顕微鏡を用いて、樹体の微細構造との関係を明らかにした。 材線虫接種苗では、樹体内におけるキャビテーションの発生にも拘わらず、トールスとマルゴともに電子顕微鏡像による形態的な異常は観察されなかった。また、樹体にキャビテーションが引き起こされても、木部含水率には顕著な低下が認められず、壁孔閉塞率が70%以上に達して初めて木部含水率が急速に低下した。このことから、70%の壁孔閉塞が樹体内におけるランナウェイエンボリズム発生の閾値であると考えられた。 (2)自然条件ではしばしば観察される部分枯れを光合成阻害剤を用いて人為的に作出し、材線虫接種後の病徴の進展と低糖類の挙動との関係について検討を加えた。 野外に生育する7年生クロマツを用いて光合成阻害処理を行った結果、材線虫接種3〜4週間で他の処理枝に先駆けて当年生葉に黄化・萎凋が現れた。同時に、光合成阻害処理によって低糖類が著しく低下した。このことから、低糖類の減少が材線虫病の病徴進展と密接な関係にあることが示唆された。
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