研究課題/領域番号 |
12460066
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
林学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 和夫 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80162931)
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研究分担者 |
奈良 一秀 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 助手 (60270899)
山田 利博 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (30332571)
宝月 岱造 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 教授 (10107170)
坂上 大翼 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (90313080)
松下 範久 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (00282567)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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キーワード | マツ材線虫病 / 病徴進展 / キャビテーション / 表面活性物質 / 表面張力 / 病徴制御 / 光合成阻害 / 低糖類 |
研究概要 |
マツ材線虫病の病徴発現原因物質と宿主細胞との相互関係を明らかにする目的で、材線虫-宿主細胞間で引き起こされる反応について調べた結果、以下の諸点が明らかにされた。 (1)感受性の異なる針葉樹5樹種を用いて、宿主の病徴進展とキャビテーション発生との関連についてみると、マツ材線虫病感受性が高い樹種ほど病徴進展にともなって、表面張力が大きく低下することが明らかにされた。このことは、表面張力に関与する物質が病徴進展と密接な関係にあることを示唆している。 (2)感染後に産生される異常代謝産物の樹体に及ぼす影響についてみると、材線虫感染によって表面活性物質および蓚酸が産生され、これらの物質によってキャビネテーションの発生が促進されるものと考えられた。 (3)表面張力の低下に関与する物質として蓚酸およびエタノール投与では、顕著な影響が認められずエスレル投与によって表面張力は低下した。このことから、病徴進展とエチレン生成が密生な関係にあることが示唆された。 (4)キャビテーションの発生は、70%の壁孔閉塞が木部含水率の著しい低下を引き起こすことから、このことが樹体内のランナウェイエンボリズムの発生と密接な関係にあるものと考えられた。 (5)光合成阻害処理によって、当年生葉の黄化・萎凋が他処理に比べて促進されたことから、光合成阻害による低糖類の減少が材線虫病の病徴進展と密接な関係にあるものと考えられた。 以上の結果から、いままでブラックボックスとされてきた病徴発現原因物質と宿主細胞の相互関係が、病徴進展やキャビテーション発生の観点から明らかにされた。
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