研究課題
九州大学農学部附属福岡演習林において、採穂園からスギ品種であるサドガシマ、タテヤマ、シャカイン、オキノヤマから9個体を選び、挿し穂を採取し、挿し木の育成を行った。しかし、挿し木を行った時期(5月)が遅かったためか、活着率が悪く、特にサドガシマ、タテヤマについては生存率が10%以下となってしまい、複数の検定林に種苗を配できる量を得ることができない状態となってしまった。したがって、この2月にオモテスギ品種である山武スギを加え、再度挿し木を行った。また、生き残った挿し木について、現在DNA解析を行い、遺伝的距離を求めている。また、5大学の演習林における試験地の設定を行った。試験地(苗木を山出しする場所)は、北(北東、北西)斜面、緩やかな傾斜地など、なるべく同じ条件となるようにした。基本的には20mX20m、苗木100本とし、1品種2回の繰り返しとすることした。したがって、5品種とすると1品種当たり10本となる。環境測定は、土壌水分と温度とすることとした。他の環境要因については、現在行われているモニターリングのデータを用いることとした。しかし、必要ならば、来年度以降雨量等の測定項目を追加することもある。苗木の植栽前後における試験地の環境変化をみるため、各試験地における土壌水分量、降雨量、光量、温度、湿度等の観測を行った。単に、こうやったらこうなったではなく、将来のスギという資源、材質を視野に入れた、この地域にはこのような品種がよい、などの提案が行える研究を行うべきであるとの意見が出され、そのような方向性で行くことにした。