平成12年度は本研究計画の初年度であり、研究目的に沿った実験装置のセットアップが先ず最初の取り組みであった。青果物の真空予冷(冷却)にあっては約30分間で圧力は大気圧から6Pa程度まで急激に低下し、温度は25℃から5℃まで約20℃低下する。この温度および圧力の急激な変化がその後の流通過程下での環境で青果物にどのような影響、特に鮮度にどの様な影響を与えるかを調べるのが本研究の目的であり、この二つの要因、温度と圧力が青果物の品質に与える影響を究明することが究極の目的である。真空冷却過程では温度と圧力のストレスを同時に受けるが、個々の要因を分離してそれぞれの要因による影響を知らなければならない。そのために、真空予冷過程の青果物の温度変化を水槽中の水温度変化にシミュレーションして圧力の影響を分離する装置を組み立て、試験をした結果水温変化が真空予冷過程の圧力の変化に連動して、青果物の温度変化を正確に再現できることを確認した。 青果物の品質変化、特に真空予冷が広く行われているホウレンソウの品質評価指標として環境条件の変化に応じて顕著に含有量が変化するビタミンCを用いることとしたが、ホウレンソウの固体毎、また葉ごとに含有量に分布があり、その測定方法および解析方法を検討しているところである。また、ホウレンソウに顕著に多いビタミンAを品質指標として用いることも検討しているところである。 実験材料としてのホウレンソウが定常的に入手困難なため実験室で水耕栽培による栽培を考えている。これらのことに対処しつつ、来年度は直ちに本格的に研究本来の目的に向けた実験を開始する予定である。
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