現在広く行われている真空予冷では冷却される青果物は短時間に急激な圧力と温度の低下による強いストレスを受ける。本研究の目的は、この圧力および温度ストレスが予冷中、予冷後の青果物の品質にどのような影響を及ぼすか明らかにすることである。AsA含有量はホウレンソウ個体の大きさに左右されるため長さ22-25cm、質量20-25gの株を選んで供試した。同じ株においても葉によりAsA含有量に差があるため、1枚の葉を半分に切り分けそれぞれ異なる条件の実験に供試して比較した。本研究では供試材料としてホウレンソウを用い、ホウレンソウの品質評価の指標としてビタミンC(AsA)を用いた。 実験の結果、最終圧力0.6:kPaでは真空予冷前後でAsA含有量の減少が見られたが、0.8kPaでは見られなかったことから、両者の間の圧力にホウレンソウの品質に影響を与えるcritical pointがあることが示唆された。また、減圧速度の速い従来法と指数関数的減圧において予冷前後でAsA含有量の減少が見られた。従来法におけるAsA含有量の減少は、予冷初期の急激な圧力低下によるものと考えられた。 さらに、真空予冷における急激な温度低下はAsA含有量の低下を招くことが明らかにされた。一方、圧力はAsA含有量にはほとんど影響を及ぼさないことが分かった。真空予冷したホウレンソウは、真空予冷をしなかったホウレンソウに比べてAsA含有量の減少が大きくなるということはなかったが、累積炭酸ガス放出量が大きくなる傾向が見られ、流通過程における生理的な損耗が大きいことが示唆された
|