研究概要 |
本研究は,精密農法(Precision Farming)の導入へ向けて,ほ場養分及び植物群落の時空間変動モデルを構築し,これらを基礎にしたほ場管理の意志決定支援システムと機械運用の最適化計画を開発することを目的に実施した。本年度の研究実績は以下の通りである。 1.開発したリアルタイム土中光センサーを利用し,供試水田1箇所(1.2ha,春秋のほ場実験2回)と畑地1箇所(0.4ha,春秋のほ場実験2回)より土壌反射スペクトルを収集した。データ収集間隔は1mで,水田では約900地点,畑地では約500地点の観測データを収録できた。土壌肥沃度パラメータ(水分,有機物含量,硝酸態窒素,pH, EC)の予測モデルを作成し,それぞれの畑地について精密なほ場マップを作成した。 2.反射スペクトルによる土壌パラメータの推定に際し,観測土壌面変動の反射スペクトル測定に及ぼす影響,及びキャリブレーション用土壌分析における土壌前処理の影響が無視できないことがわかり,新たに土壌分析における前処理行程の影響について調査する実験を行うことになった。 3.過去に得られたほ場養分パラメータの時空間変動データベースを用い,土壌マップの時間変動を解析して,マネッジメントマップの作成を試みた。マネッジメントマップでは,土壌パラメータの値が安定して高い箇所,安定して低い箇所及び変動の激しい箇所の3段階に区別して表示した。このマネッジメントマップを利用して,施肥設計などの意志決定を支援することができる。 4.0.4haほ場内の49地点においてコムギ及びサイレージコーンの生育追跡調査を実施し,生育マップを作成した。観測項目は草丈やSPAD値など約10項目である。マルチスペクトル航空画像も合わせて収集し,SPAD値とNDVIの相関関係を確認した。 5.研究成果を取りまとめ出版した。
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