研究課題/領域番号 |
12460118
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
金井 幸雄 筑波大学, 農林学系, 教授 (40015871)
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研究分担者 |
古賀 新 筑波大学, 農林学系, 講師 (10323247)
本間 秀彌 筑波大学, 農林学系, 助教授 (60015782)
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キーワード | 熱帯アジア / 水牛 / 水分代謝 / 基礎代謝 / 栄養生理 / 繁殖生理 / アンジオテンシン / 抗利尿ホルモン |
研究概要 |
今後も高い人口増加が見込まれる熱帯アジアの発展途上国では、わが国が歩んだ集約的な加工型畜産とは異なり、在地性に配慮した地域資源活用型の畜産の発展が望まれている。本研究では、アジア在来家畜の水牛が湿潤熱帯に優れた適応能力を持ち、牛よりも粗飼料利用性に優れていることに着目し、(1)水分代謝、(2)栄養生理、(3)繁殖生理の各側面から、水牛の特性を詳細に比較検証することにより、水牛の高度利用を図るための基礎的知見を得ようとした。今年度(初年度)は、海外共同研究者の協力の下に主にタイ国で水牛の水分代謝特性評価を行い、以下の成果を得た。 1.気温の日周期的変化に伴う体温及び基礎代謝量の変動を解析した結果、水牛の体温は牛と比較してより大きな変動幅を示すこと、また基礎代謝量も同様に日周期的変動を示し、かつ牛よりも低いことが明らかになった。これらの知見から、水牛の持つ変温性(thermo-lability)は代謝量の節減という点において優れた特性であることが示唆された。 2.給水及び絶水条件下における水分出納試験を行うとともに、絶水後の飲水行動に対する抗利尿ホルモン(ADH)及び脳内アンジオテンシン(ANG)の関与について比較検討した。その結果、給水及び絶水条件下のいずれにおいても水牛の体水分回転率は牛より高く、水牛の飲水要求量は常に牛よりも大きいことが判明した。また、絶水に対するADH分泌反応は水牛で特に顕著であった。さらに脳室内へのANGアンタゴニスト注入による飲水抑制試験では、牛では明らかな抑制がみられる投与量でも水牛では無効であった。これらの知見から、飲水行動調節あるいは体水分調節に関わる脳内の神経制御機構にも水牛と牛との違いが予見された。 3.水牛の栄養生理及び繁殖生理特性の評価については、フィリピンでの現地試験を準備中であり、次年度には一定の成果が得られる見込みである。
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