研究概要 |
ニワトリ脳のcDNAライブラリーから得られたヒト遺伝子ホモログのESTクローンと共同研究者より分与された既存の遺伝子DNAクローンを用いて、昨年度までに192の機能遺伝子よりなるニワトリの染色体地図を作製した。今年度は新たに25個の機能遺伝子をニワトリ染色体上にマップするとともに、FANCG, FANCC, RPS6,VASAの4遺伝子がニワトリZ染色体上に存在することを確認し、ニワトリ性染色体の起源に関する新たな情報を提供した。また、8つのSOX遺伝子をニワトリ染色体上にマッピングし、染色体上でのSOX遺伝子群の存在様式がヒト-マウス間よりもヒト-ニワトリ間の方が保存性が高いことを明らかにした。 次に、ニワトリとホロホロチョウ間の染色体相同性を明らかにするために、ニワトリ1-9番染色体とZ染色体染色体特異的DNAプローブを用いてホロホロチョウに比較染色体ペインティングを行った。さらに、我々がニワトリ1-8番染色体およびZ染色体にマップした45のコスミドクローンを用いてニワトリ-ホロホロチョウ間で比較染色体地図を作製した。その結果、ニワトリ-ホロホロチョウ間で高い染色体相同性の存在が確認されたが、ニワトリ5番染色体はホロホロチョウの6番と7番染色体間の動原体融合によって生じ、ホロホロチョウの4番染色体はニワトリの4番染色体の長腕とニワトリ9番染色体の動原体融合によって生じたことを明らかにした。さらに、ホロホロチョウの7番染色体で逆位の存在が確認された。 また、ニワトリの染色体特異的プローブを用いて、キジ目3科12種について比較染色体ペインティングを行い、キジ目鳥類の進化過程に生じた染色体再構成のプロセスを明らかにした。得られた結果はミトコンドリアのcytochrome b遺伝子の塩基配列から推定された分子系続関係とよく一致し、キジ目鳥類の祖先型の核型が、走鳥類のエミューに非常によく似ていることが判明した。
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