研究課題/領域番号 |
12460124
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
矢野 秀雄 京都大学, 農学研究科, 教授 (20026587)
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研究分担者 |
河内 浩行 京都大学, 農学研究科, 助手 (00324666)
松井 徹 京都大学, 農学研究科, 助教授 (40181680)
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キーワード | レプチン / リアルタイムPCR / 脂肪細胞 / インスリン / バナジウム / PI3-キナーゼ |
研究概要 |
レプチンmRNAの発現量をより正確に定量するためにリアルタイムPCR法の検討を行った。プライマー同士でダイマー形成しないようプライマーをデザインし、PCR反応により形成する2本鎖DNA量に応じて発せられる蛍光を測定するリアルタイムPCRの手法を用いて測定した。段階希釈サンプルに対するリアルタイムPCRによって作成された標準曲線は直線となり、ウシ脂肪組織中のレプチンmRNA、および内部コントロールとして用いるGAPDHmRNAの正確な定量が可能となった。 レプチンの分泌や合成はインスリンにより促進され、この作用はグルコース代謝変化に起因していることが推察されている。またバナジウムはインスリン様作用を有し、脂肪細胞におけるグルコース取り込みを促進することが知られている。このことからバナジウムもインスリンと同様にレプチン分泌を促進する可能性が考えられ、その予備的な研究としてまずラットの培養脂肪細胞を用いて、バナジウムのレプチン分泌に及年す影響について検討した。ラットの副睾丸組織から遊離脂肪細胞を調整し、培地中に硫酸バナジルまたはインスリンを添加し2時間培養したところ、どちらも濃度依存的にレプチン分泌を促進した。次いで、インスリンの生理作用のうち、グルコースの取り込みやグリコーゲンの合成などの代謝に関する経路で非常に重要な働きを示すPI3-キナーゼの阻害剤LY294002添加を行ったところ、インスリン、硫酸バナジルのレプチン分泌促進作用はこのLY294002により抑制された。さらにインスリン、硫酸バナジルのレプチン遺伝子発現に及ぼす影響についても検討したところ、インスリンはレプチンmRNA発現には影響を及ぼさなかったが、硫酸バナジルはレプチンmRNA発現を抑制した。以上の結果から短時間のバナジウム処理はインスリン同様にPI3-キナーゼ系を介してレプチン分泌を促進するが、レプチン遺伝子発現に対しては抑制する可能性が示唆された。
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