研究課題/領域番号 |
12460124
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
矢野 秀雄 京都大学, 農学研究科, 教授 (20026587)
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研究分担者 |
河内 浩行 京都大学, 農学研究科, 助手 (00324666)
松井 徹 京都大学, 農学研究科, 助教授 (40181680)
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キーワード | レプチン / ウシ / 脂肪組織 / 脂肪細胞径 / エストロジェン / ゲニステイン / 硫酸バナジル |
研究概要 |
肥育去勢牛の異なる脂肪組織におけるレプチンmRNA発現、脂肪細胞径ならびにこれらの関係を検討するために、21ヶ月齢の交雑種去勢牛(黒毛和種とホルスタイン種)から、皮下、腎周囲、筋間、最長筋肉内脂肪組織を採取した。レプチンmRNAは各脂肪組織で異なっており、筋肉内脂肪組織におけるレプチンmRNA量は筋間脂肪組織ならびに腎周囲脂肪組織と比較し低かった。また、皮下脂肪組織におけるレプチンmRNA量は、筋間脂肪組織と比較し低かった。脂肪細胞径は筋間脂肪組織と比較し、筋肉内脂肪組織ならびに皮下脂肪組織で小さかった。またレプチンmRNA量と脂肪細胞径の間には正の相関が認められた。以上の結果から、レプチン遺伝子の発現は各脂肪組織で異なること、この遺伝子発現の相違は脂肪細胞径の相違に起因していることが示唆された。 さらにウシ脂肪細胞における性ステロイドホルモンであるエストロジェンおよびエストロジェン様作用を有する大豆イソフラボンのひとつであるゲニステインがレプチン分泌およびmRNA発現に及ぼす影響を検討した。またインスリン様作用を示すバナジウム化合物である硫酸バナジルがレプチンmRNA発現に及ぼす影響についても検討した。エストロジェンおよびゲニステインは2時間培養、8時間培養においてレプチン分泌を促進した。これに対し、レプチンmRNA発現に対しては6時間、24時間培養においてエストロジェンおよびゲニステインは促進したが、2時間培養では促進作用は見られなかった。しかし、エストロジェンとゲニステインを共添加した場合、培養後8時間では、エストロジェン単独添加に比べゲニステインを共添加することでレプチン分泌は有意に減少した。一方、インスリン添加においては6時間培養、12時間培養でレプチンmRNA発現量は増加したが、硫酸バナジル添加では低濃度ではレプチンmRNA発現量は増加したが、高濃度添加では顕著に減少した。従って毒性を起さない程度の高濃度のバナジウムの飼料への添加はレプチン産生を抑制し、肥育効率を改善する可能性が示唆された。
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