研究概要 |
1.黒毛和種去勢牛ならびに雌牛において肥育に伴う血漿中レプチン濃度変化ならびにレプチン濃度と枝肉形質の関連を検討した。去勢牛ならびに雌牛において肥育に伴い血中レプチン濃度は上昇した。またレプチン濃度は去勢牛と比較し雌牛で高いことが示された。一方、体脂肪を示すと考えられる皮下脂肪厚や脂肪交雑には去勢牛と雌牛で明らかな差は認められなかった。また、去勢牛では血中レプチン濃度は体脂肪量を反映していることが示唆され、肥育度の指標として用いることが推察されたが、雌牛においてはすべての枝肉基質とレプチン濃度との間には相関関係は認められなかった。 2.肥育去勢牛の異なる脂肪組織におけるレプチンmRNA発現、脂肪細胞径ならびにそれらの関係について検討した。レプチンmRNA量は各脂肪組織で異なり、筋肉内脂肪組織におけるレプチンmRNA量は筋間脂肪組織ならびに腎周囲脂肪組織と比較し低かった。また、皮下脂肪組織におけるレプチンmRNA量は、筋間脂肪組織と比較し低かった。脂肪細胞径は、筋間脂肪組織と比較し、筋肉内脂肪組織ならびに皮下脂肪組織で小さかった。またレプチンmRNA量と脂肪細胞径の間には正の相関が認められた。 3.ウシ脂肪組織における性ステロイドホルモンであるエストロジェンおよびエストロジェン様作用を有する大豆イソフラボンの一つであるゲニステインがレプチン分泌およびmRNA発現に及ぼす影響について検討した。またインスリン様作用を示すバナジウム化合物である硫酸バナジルがレプチンmRNA発現に及ぼす影響についても検討した。エストロジェンおよびゲニステインは2,8時間培養においてレプチン分泌を促進した。これに対し、レプチンmRNA発現に対しては6,24時間培養においてエストロジェンおよびゲニステインは促進したが、2時間培養では促進作用は見られなかった。一方、硫酸バナジル添加では低濃度ではレプチンmRNA発現量は増加したが、高濃度では顕著に減少した。
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