研究課題/領域番号 |
12460127
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
太田 光明 麻布大学, 獣医学部, 教授 (20134504)
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研究分担者 |
和久井 信 麻布大学, 獣医学部, 助教授 (40201157)
政岡 寿夫 麻布大学, 獣医学部, 教授 (30063978)
塩田 邦郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80196352)
植竹 勝治 麻布大学, 獣医学部, 講師 (00312083)
田中 智夫 麻布大学, 獣医学部, 教授 (40130893)
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キーワード | 地震 / 電磁波 / 帯電エアロゾル / 動物 / 異常行動 / イヌ / ネコ / 遺伝子 |
研究概要 |
地震前の動物の異常行動は、地震前兆を感知した動物のストレス反応の一つであろうとの仮説のもとに研究を重ねてきた。しかし、地震前兆としてありうる2つの物理現象(電磁波説と帯電エアロゾル説)を動物に与えても、あるいは岩石破壊実験によっても、地震前に観察された「異常行動」の再現は得られていない。すなわち、動物はこれら2つの物理現象を含む他の現象を合わせて感知し、異常行動に及んだと推察される。 電磁波照射あるいは帯電エアロゾルの暴露によって、血液中ではアドレナリンの減少、脳内ではノルアドレナリンの上昇が再現性高く見られ、また他の生理活性物質も有意な変化を示した。また、電磁波はカエル摘出心臓の機能低下、あるいは骨格筋の不規則な収縮をもたらした。さらに、イヌおよびネコ(阪神・淡路大震災後のいずれの調査においても、イヌの約20%、ネコの約30%が地震の前に異常行動を起こしたことが明らかになっている)を用いた実験でも、再現性高く、同種の結果が得られた。これらの結果は、電磁波あるいは帯電エアロゾルが生体に強い影響を及ぼしていることの明らかな証拠であり、他の(未知の)物理的・化学的現象がもたらす生体内変化が同時に起これば、動物は自らの身を守るため異常な行動に走る可能性は極めて高い。しかし、地震前兆として起こる物理・化学的現象が数限りなくあるとすれば、このような研究のゴールは遠い。すなわち、阪神・淡路大震災で見られた動物の異常行動を地震予知に結びつけるには新たな視点からの研究が必要であり、そうした観点から、(社)神戸市獣医師会ならびに(社)兵庫県獣医師会淡路支部と共同して、新たに阪神・淡路大震災を経験したイヌおよびネコの「地震」遺伝子の解析を開始した。 また、2000年10月6日に発生した鳥取県西部地震(震度6強)では、震源地近くの水族館(しまね海洋館、島根県浜田市)のべルーガ(通称シロイルカ)3頭が地震の2〜3日前から給餌を受けつけなかったと云う。こうした情報の収集システムについても新たに検討を開始した。
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