研究課題/領域番号 |
12460128
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
伊藤 茂男 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (40109509)
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研究分担者 |
太田 利男 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (20176895)
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キーワード | セロトニン / 5-ヒドロキシトリプタミン / 大動脈化学受容細胞 / 腸クロム親和性細胞 / 電位依存性チャネル / ニコチン様アセチルコリン受容体 / ホールセルボルテージクランプ法 / 5-HT放出 |
研究概要 |
ニワトリ大動脈を酵素処理して分離した細胞の中からセロトニン(5-HT)を含む化学受容細胞を生きた状態で同定する方法を見いだし、以下の成績を得た。(1)ホールセルボルテージクランプ法を用いて脱分極パルスにより誘発される内向き電流を観察し、この細胞にはテトロドトキシン(TTX)により抑制される電位依存性Na^+チャネルとCoCl_2により抑制されるL型とN型の電位依存性Ca^<2+>チャネルが存在することが示された。(2)KCl電極を用いると外向き電流が観察され、この細胞にはテトラエチルアンモニウム感受性の電位依存性K^+チャネルが存在し、その一部は低酸素で抑制される酸素感受性K^+チャネルであることが示された。(3)高濃度KClとべラトリジンは大動脈から5-HT放出を引き起こし、前者はCa^<2+>チャネル遮断薬で、後者はCa^<2+>チャネル遮断薬もしくTTXで抑制された。(4)ニコチン、アセチルコリン(ACh)、ジメチルフェニルピペラジニウム(DMPP)により内向き電流が誘発され、この反応はヘキサメソニウムで抑制されたことから、この細胞には神経型ニコチン様ACh受容体が存在することが示された。(5)この細胞のニコチン様ACh受容体を介する内向き電流反応にはα-バンガロトキシン(α-BTX)感受性と非感受性の部分があることが示された。α-BTX感受性電流はニコチン様ACh受容体のα7サブユニットの阻害薬であるメチルリカコニチンにより抑制された。(6)ニコチン、ACh、DMPPはいずれも胸部大動脈から5-HT放出を引き起こし、これらの分泌もα-BTXにより部分的に抑制された。(7)モルモットとラット腸管粘膜細胞のニュートラルレッドで赤染した細胞をホールセルボルージクランプし、脱分極と過分極パルスを与えた結果、多くの細胞は電位依存性反応を示さなかった。一部の細胞でのみ内向き電流が観察され、赤染した細胞は均一ではないことが示された。(8)脳血管に対する5-HTの作用を調べた結果、バゾプレシンと同様、5-HTは脳底動脈に律動的な収縮を引き起こした。
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