研究課題/領域番号 |
12460129
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
昆 泰寛 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (10178402)
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研究分担者 |
岩永 敏彦 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (10160128)
稲波 修 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (10193559)
遠藤 大二 酪農学園大学, 獣医学部, 助教授 (40168828)
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キーワード | 血管平滑筋 / 腎臓 / 水腎症 / ノックアウトマウス / PGP9.5 / ホルモン / 免疫組織化学 / レニン-アンギオテンシン系 |
研究概要 |
レニン-アンギオテンシン系(RAS)は血圧調節と水・電解質代謝の調節に働く。RASのトリガー的酵素であるレニンは主に腎臓から分泌されるが、他組織にも存在し、従来考えられなかった調節系の存在が報告されている。本研究の目的は、局所免疫機構に関与するホルモンシステムを特にRASを中心に解明することにある。昨年度は、レニンノックアウトマウスの作製とその形態学的観察を中心に行った。すなわち、レニン遺伝子のエクソン1-3をLacZ遺伝子で置換し、定法に従ってホモならびにヘテロ個体が得られた。ホモ個体の腎臓は種々の程度に水腎症の形態を呈し、腎臓内血管は内皮細胞の肥厚と、平滑筋細胞の増殖を特徴とした。血圧は著しく低下していた。 本年度は、このレニンノックアウトマウス腎臓を用い血管に分布する神経を観察し、興味ある知見が得られた。すなわち、腎臓の100-200μm厚標本を作製しPGP9.5による免疫染色を行い神経走行を可視化した。多数の神経終末が糸球体近傍に多数みとめられた。この傾向は葉間動脈においても同様であった。これらの所見は、血管平滑筋の増殖に伴う変化であり、血圧調節に不可欠な存在であるRASが十分に機能しないために惹起された代償性変化と考えられた。さらに、腎臓外レニンにはマウスの系統が存在することが知られているため、13系統について特に外分泌腺レニンの存在を比較検討し、その後レニンノックアウトマウスでの形態異常の有無について超微形態学的に観察した。その結果、レニンの有無に関わらず外分泌腺組織に顕著な異常は観察されなかった。このことから、外分泌腺レニンは別の因子によって代償されているものと考えられた。免疫系に関しては、レニンをノックアウトすることによって胸腺萎縮を示す例も観察されたことから、免疫系に対し何らかの作用がある可能性が伺われた。
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