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2002 年度 実績報告書

病原性プリオン蛋白質の生成機構に関する基盤研究

研究課題

研究課題/領域番号 12460130
研究機関帯広畜産大学

研究代表者

牧野 壮一  帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (30181621)

研究分担者 堀内 基広  帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 助教授 (30219216)
古岡 秀文  帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (60238665)
キーワードプリオン / スクレイピー / PrP / 構造転換 / グリコサミノグリカン / 合成ペプチド / BSE
研究概要

異常型プリオン蛋白質(PrPSc)は感染因子プリオンの主要構成要素であり、その生成機構はプリオン病病因論の中心となる。プリオン(PrPSc)が外部から侵入すると、正常型プリオン蛋白質(PrPC)と会合して、PrPCをPrPScに転換する。この際、PrPScは鋳型(seed)として働く。本研究では、PrPScをseedとするPrPSc生成過程におけるPrPCとPrPScの分子間相互作用を解析した。
マウスとハムスターのPrPを用いて、同種のPrPCとPrPScの組み合わせではPrPCはPrPScに転換するが、異種の組み合わせでは転換効率が非常に悪かった。しかしPrPCは異種PrPScと結合し得た。関連する一連の実験結果から、PrPScへの構造転換は、PrPCとPrPScの結合の段階ではなく、主に結合後の構造転換の段階で規定されること、構造転換の宿主特異性はPrP分子の中央部に存在する3アミノ酸の違いにより規定されることを明らかにした。また、PrPScの生成に関与する微小環境の条件検討を行ったところ、グリコサミノグリカン(GAG)の構成要素である硫酸多糖がPrPScへの構造転換を促進することを発見した。硫酸多糖は細胞外間マトリックスに多く存在することから、PrPCは細胞膜上に発現することから、プリオン感染動物において細胞外マトリックス中の硫酸多糖がPrPC-PrPSc分子間相互作用に関与する可能が示唆された。さらに、PrP合成ペプチドを使用したPrPSc産生阻害試験の結果から、PrP119-141,PrP168-179,およびPrP200-223の合成ペプチドがPrPCとPrPScの結合を阻害することを見出した。これらのペプチドはPrPCと結合すること、およびβシート構造をとることから、ペプチドがPrPSc凝集体上に存在するPrPCとの結合ドメインを模倣すること、言い換えると、これらの領域がPrPC結合ドメインを形成する可能性が示唆された。PrPCとPrPScの分子間相互作用を解析する道具として、PrP分子に対するモノクローナル抗体(mAb)パネルを作製した。計34のmAbは認識するエピトープから10群に分類された。グループI〜VIIはPrP分子上のリニアエピトープを認識する抗体、グループVIII、IXはPrP分子上の構造エピトープを認識する抗体であった。また、グループIXはPrPSc特異的エピトープを認識する抗体である可能性が強く示唆された。このパネル抗体は今後のPrPC-PrPSc分子間相互作用の解析に非常に有用な道具となると考えられる。
以上のように本研究では、PrPC-PrPSc分子間相互作用の生化学的な解析から、その特性、必要な微小環境、会合に関与するドメインなどの一端を明らかにした。

  • 研究成果

    (9件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (9件)

  • [文献書誌] Horiuchi, M.et al.: "Interactions between heterologous forms of prion protein : binding, inhibition of conversion, and species barrier"Proc.Natl Acad.Sci.USA. 97. 5836-5841 (2000)

  • [文献書誌] Horiuchi, M.et al.: "Inhibition of interactions and interconversions of prion protein isoforms by peptide fragments from the C-terminal folded domain"J.Biol.Chem.. 276. 15489-15497 (2001)

  • [文献書誌] Wong, C.et al.: "Sulfated glycans and elevated temperature stimulate PrP(Sc)-dependent cell-free formation of protease-resistant prion protein"EMBO J.. 20. 377-386 (2001)

  • [文献書誌] Yamamoto, M.et al.: "Glycidol degrades scrapie mouse prior protein"J.Vet.Med.Sci.. 63. 983-990 (2001)

  • [文献書誌] 品川森一: "プリオン病の免疫学的検出法"生活衛生. 45. 259-269 (2001)

  • [文献書誌] 池田徹也: "牛海綿状脳症に関する検査概要と今後の対応"食品衛生研究. 52. 33-42 (2001)

  • [文献書誌] 堀内基広: "動物のプリオン病"ウイルス. 51. 145-150 (2001)

  • [文献書誌] Horiuchi, M.et al.: "Biological and biochemical characterization of sheep scrapie in Japan"J.Clin.Microbiol.. 40. 3421-3426 (2002)

  • [文献書誌] Takekida, K.et al.: "Quantitative analysis of prion protein by immunoblottiing"J.Health Science. 48. 288-291 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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