研究課題/領域番号 |
12460132
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
尾崎 博 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (30134505)
|
研究分担者 |
中山 裕之 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (40155891)
堀 正敏 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (70211547)
佐藤 晃一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (90205914)
|
キーワード | ヒルシュスプルング病 / 消化管 / 免疫系 / マクロファージ / 平滑筋 / 一酸化窒素 / プロスタグランジン |
研究概要 |
本研究は、ヒルシュスプルング病(以下ヒルシュ病と略す)の病態モデルとなるエンドセリンB受容体欠損ラットを用いて、閉塞性消化管障害の病態像を解明することを目的としている。初年度に得られた成績は以下の通りである。 1.ヒルシュ病モデルラット 1)神経叢と消化管の状態:ヒルシュ病モデルラットは生後7-10日で死亡した。狭窄部は回腸下部にまで及び、この部位では神経叢は欠損していた。2)腸内フローラとマクロファージ:回腸の消化管内容物を採取し、腸内フローラを比較した。正常ラットではlactobacilliを主体としてたが、ヒルシュ病モデルラットでは総菌数ならびに嫌気性菌数が正常の盲腸レベルに達し、腸内フローラの正常なコントロールが行われていないことが明らかとなった。これらの変化と呼応して、回腸の粘膜下および筋層間に分布するマクロファージの増加が観察された。 以上の成績から、ヒルシュ病モデルラットは神経叢の欠損が小腸下部にまで及ぶ重篤な病態を示す、小腸のフローラは通常では大腸に見られるパターンに変化する、さらに異常な腸内フローラを反映して免疫機能が亢進している、などが明らかにされた。 2.LPSによる消化管マクロファージの変化 ヒルシュ病モデルラットで得られた成績を参考に、腸管組織にLPSを作用させ、筋層間マクロファージの変化を検討した。その結果、LPSによってiNOSとCOX-2が誘導され、一酸化窒素とプロスタグランジンが放出されて平滑筋収縮を抑制することが明らかになった。これらの成績は、消化管炎症時の運動低下を説明する知見と考えられる。ヒルシュ病モデルラットにおけるiNOSとCOX-2の関与については次年度の研究課題としたい。
|