研究課題/領域番号 |
12460137
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
稲葉 睦 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (00183179)
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研究分担者 |
高桑 雄一 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (40113740)
辻本 元 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60163804)
山本 雅之 筑波大学, 基礎医学系・先端学際領域研究センター, 教授 (50166823)
松木 直章 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (40251417)
稲波 修 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (10193559)
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キーワード | 赤血球膜 / 膜骨格 / バンド3 / 遺伝性溶血性貧血 / 膜蛋白質 / 膜移行 / 牛 / 遺伝性バンド3欠損症 |
研究概要 |
黒毛和種牛のバンド3欠損症(band 3^<Bov.Yamagata>)では、バンド3遺伝子のナンセンス変異(R664X変異)によって赤血球のバンド3が欠損する。本研究では、バンド3を欠損、あるいは過剰発現する細胞を用いて、膜骨格構築を時間・空間分解的に解析し、膜骨格形成の分子機序を明らかにすることを目的とする。 A. 培養細胞発現系の構築と解析:K562細胞に、牛バンド3のcDNAをレトロウイルスベクターを用いて導入し、G418での選択により正常バンド3、ならびにR664X変異バンド3遺伝子を発現するクローン、K562BEBNとK562BEBRXを確立した。これらを用いて、1)正常バンド3は合成総量の約10%が細胞表面に移行するのに対し、変異バンド3は、ERでカルネキシンと相互作用したまま止まり細胞膜に移行できず、やがてプロテアソーム系で分解される、2)K562BEBNとK562BEBRXから得た膜小胞はアンキリン、およびプロテイン4.2を結合することを実証した。R664X変異バンド3は、細胞膜へ移行できず分解される。骨格蛋白質との相互作用は正常バンド3と同等である。 B. 骨髄細胞での解析:牛骨髄から得た細胞での各主要膜蛋白質の発現を解析中である。 C. 主要膜骨格構成要素に関する基礎検討:バンド3と並んで重要とされるグライコフォリンCについて、2アミノ酸置換を伴う遺伝子・表現型多型を見いだした。QS型では赤血球膜グライコフォリンCが検出されるが、PN型ではほとんど認められず、ヘテロ個体では中間値を示す。いずれのタイプでも赤血球形態異常は認められなかった。膜骨格形成時のその役割は改めて検討を要する。 D. バンド3過剰発現系の構築:トランスジェニックマウスの作出、K562細胞での過剰発現系について予備的検討を行っている。
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