研究課題/領域番号 |
12460139
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研究機関 | 酪農学園大学 |
研究代表者 |
辻 正義 酪農学園大学, 獣医学部, 助教授 (10150088)
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研究分担者 |
磯貝 恵美子 北海道医療大学, 歯学部, 助手 (80113570)
森田 千春 酪農学園大学, 獣医学部, 教授 (50072369)
石原 智明 酪農学園大学, 獣医学部, 教授 (90082172)
塩田 恒三 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (40128707)
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キーワード | Babesia microti / 人獣共通感染症 / 輸血感染症 / SCIDマウス / 野生動物 / アカネズミ / ダニ媒介性疾患 |
研究概要 |
一昨年兵庫県神戸市で発生した国内初のバベシア症患者から、ヒト赤血球置き換えSCIDマウスを用いてBabesia microti様原虫を分離することに成功した。患者は発症前に大量の輸血を受けていたことから、輸血による感染の可能性が疑われたので、血液提供者の特定を行うとともに、野生動物レゼルボアについて調べた。輸血に用いられた血液ロットの検索から関与した血液提供者は8名であったことが明らかとなり、その中の1名に特異抗体が検出された。この血液提供者の在住地付近で野鼠の捕獲を試みたところ、2頭のアカネズミ(Apodemus speciosus)が捕獲され、そのうちの1頭にバベシア原虫が検出された。血液提供者および陽性アカネズミの赤血球をヒト赤血球置き換えSCIDマウスに接種することにより、各々の原虫を分離することができた。両分離株の小サブユニットリボゾームRNAの塩基配列を決定したところ、両者の配列は患者分離株のそれと完全に一致していたが、北米のB.microti株の配列とは15塩基の違いが見られた。また、患者、血液提供者および感染アカネズミから分離された原虫株の抗原性状も互いによく類似していたが、北米のB.microti株とは全く異なっていた。以上の成績から、今回の症例が不顕性感染者からの輸血により起きたこと、わが国のB.microti様原虫は北米のものとは近縁ではあるが異なること、および、野生アカネズミが日本におけるレゼルボアである可能性が強く示唆された。
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