研究概要 |
本研究の目的は病原性プラスミド上に存在する遺伝子の機能解析を行い、病原性プラスミドが生み出す食菌抵抗性・殺菌回避メカニズムを分子遺伝学的に明らかにしようとするものである。平成13年度には、ショットガンクローニング法を用いAIDS患者由来中等度毒力株の79kb病原性プラスミド(pREA3)の79,288bp全塩基配列を決定した。中等度毒力株よりもマウス毒力で10倍、子馬では百倍以上の感染最小濃度が異なる強毒株のプラスミドのORF64個と中等度毒力株の71個のORFを比較検討したところ、中等度毒力株に特有な5種類の新たな毒力関連抗原(Virulence associatd protein antigen (Vap) family)がpathogenicity islandを形成していることを明らかにした。平成15年度において、韓国とプラジルで分離された強毒株の病原性プラスミドがこれまでのRFLPとは明らかに異なり、新たなプラスミド型として型別され、強毒株の病原性プラスミドは12種類存在することが明らかとなった。今年度は、さらにpathogenicity islandの領域とそれ以外の領域に存在するORFの塩基配列を決定し、12種類における相同性を比較検討した。さらに、p33701を対照として、遺伝子の挿入と欠損について、サザンハイブリダイゼーションで詳細に12種類の病原性プラスミドを比較検討したところ、12種類のプラスミドは85kb I,II,III,IV型、90kb II,V型、87kb I型、90kb I,III,IV型、87kb II型の5つのグループに大別され、pathogenicity islandの侵入した潜在性プラスミドは少なくとも2種類は存在することが明らかとなった。
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