研究概要 |
現有のダイズコレクションから、既に解析が終了している生理形態形質、アイソザイム遺伝子型およびオルガネラゲノム型の変異に基づいて138品種を選択した。これらは,アジア14カ国のダイズ品種を網羅する。各品種一個体よりDNAを抽出した。これらDNAを鋳型にSSR解析を行った。用いたSSR標識は,ダイズゲノムからランダムに選んだ20個のSSR標識ならびに二つの連鎖群(C2とD1b+W)からそれぞれ連鎖する10個のSSR標識のあわせて40個である。PCR法とシークエンサーを利用して各品種のSSR標識の遺伝子型を同定した。その結果,座あたりに平均10個の対立遺伝子が観察され,核SSR標識の多様性が改めて示された。多変量解析の結果,日本のダイズ集団と中国のダイズ集団は遺伝的構成が大きく異なることが明らかとなった。一方,東南アジアや南および中央アジアのダイズ品種の多くは中国品種のクラスターに含まれた。供試品種の多くは異なった単独のクレードを構成しており,それらが互いに遺伝的に異なった品種であることが再確認された。これら初期のコアコレクションから数品種を選び,耐冷性に関する簡易評価法を確立するために予備調査を行った。特に,栄養成長期の耐冷性検定を10℃/5℃(明/暗)の条件下で行ったところ,クロロシスを示す品種から明瞭なストレス症状を示さない品種まで変異が観察された。今後この条件を用いて耐冷性の遺伝資源評価が可能である。現在,核SSR標識の多型解析ならびに耐冷性評価を,供試材料を増やしながら継続している。
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