研究課題/領域番号 |
12460146
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
中嶋 睦安 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (10059660)
|
研究分担者 |
砂入 道夫 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (80196906)
上床 和弘 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (70223625)
|
キーワード | 活性汚泥 / ポリオウイルス / 非特異的吸着 / 廃水処理 / 病原微生物 / Rhodococcus rhodochrous |
研究概要 |
廃水処理に用いられる各種活性汚泥は、下水道、浄化槽の普及とともに激増し、その処分が問題となっている。これら活性汚泥を再生し利用する際には、し尿に由来する微生物やウイルスに対して再生作業従事者ならびに再生物利用者の安全を図る必要がある。特にポリオウイルスをはじめ、糞便中に多量に排出される腸管ウイルスなどは、活性汚泥を汚染し、活性汚泥を再生利用する際に大きな障害となると考えられるが、その安全性確保のための研究は少ない。我々はその第一歩として、活性汚泥に含まれるウイルスを検出するため、実際の廃水処理活性汚泥等の採取物に指標ウイルスとしてポリオウイルスSabin 1型株(弱毒株)を添加して以下の実験を行った。 まず、ポリオウイルスの検出、定量法の短時間化を目的に検討を加え、重層物質を従来の寒天からメチルセルロ・スに代え、また、細胞密度を替えた方法を開発した。同法を用いて、活性汚泥へのポリオウイルスの吸着性を確認した。次いで、活性汚泥に対するウイルスの最大吸着量を調べた結果、活性汚泥1g当たり10^9 PFU以上のウイルスを吸着した。従って、活性汚泥は極めて強いウイルス吸着物質であり、液相中のウイルスを捕捉吸着し結果的に濃縮すると考えられた。また、活性汚泥に吸着したウイルスはフリーのウイルス粒子に比べ感染性をより長時間維持し、かつ高い熱安定性を示した。また、活性汚泥に吸着したウイルスの溶出を試み、ホウ酸緩衝液が有効であることを示した。さらに、様々な溶出条件をテストし、活性汚泥とウイルスの吸着に影響を与える因子に検討を加え、両者の間に働く相互作用について考察した。
|